春屋

こちらはゲーム「THE IDOLM@STER」「東方project」を応援しているサイトです。管理人のプレイ日記や、SSが置いてあります。
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暇な二人のクリスマス

これはアイドルマスターの二次創作SSです。
多少設定とは違うかもしれませんが、気にしない方はこのまま前進。




9月のある日の出来事……

「おー、色々ありますね、プロデューサー。……何してるんですか、追いてっちゃいますよ」

その日、プロデューサーと律子の二人は、仕事の空き時間中に見つけた学園祭の
中に居た。律子曰く、「こういう場所は活気があっていい」らしく、ご機嫌である。
プロデューサーの青年も、そんな律子の機嫌を損ねないようについて来ているのだが。

「おい、律子。少しは休憩させてくれよ……、俺だって疲れてるんだからな」

つい先ほどまで仕事だったプロデューサーは、少し疲れてきているようであった。

「だらしないな?!そんなんだから、亜美真美と美希に遊ばれるんですよ!」

「……それを言うなって。ん、ここはリサイクルショップか?」

プロデューサが目に留めたのは、学生達が自分の家から持ってきた不用品を
売っている店だった。律子も興味を示したのか、店の商品を眺めている。

「へ~、わっ、これ懐かしいものが置いてあるわね」

律子が手にしたのは、音に反応してクネクネ動く花の人形だった。

「……俺、それ欲しいかも」

「マジですか……あっ、クリスマスツリーなんか置いてある。ちょっと、フライング
 しすぎかな」

そう言いながらも、律子はそのツリーを手に取って見ている。

「ん?欲しいのか、それ」

「ん~、ちょっとね。そういえば、プロデューサーはクリスマスってどうなの?」

プロデューサーは、質問の意味が分からずしばらく考えていると、律子が
その答えを教えてくれた。

「普通、分かりそうなんだけどな。プロデューサーは、クリスマスに予定は
 あるんですか?」

「ああ、そういう意味か。ん~……仕事してるんじゃないか」

それを聞いて、律子はため息混じりに聞き返した。

「そうじゃないって……ほら、女の人と二人っきりで過ごすとかの予定ですよ」

「ああ?あるわけないだろ、そんなもん」

「ふ~ん、じゃあヒマなんですか、プロデューサーは」

律子が意地悪そうにそう言ったので、軽くカチンと来たプロデューサーは、
胸を張ってこう言い返した。

「ヒマだ!ああ、ヒマだよ!じゃあ、そういう律子さんはモテモテでお忙しいん
 でしょうね……」

と、今度はプロデューサーの方が意地悪そうに律子に聞き返した。
だか、律子はいつも通りに答えた。

「ん~、年末とかは忙しいからね。うちのお店もそうだけど、学校も色々ね~……」

「なんだよ、お前だってヒマじゃないかよ」

「そうね。じゃ、クリスマスにヒマな二人で「クリスマス残念会」でもやる?」

「……なんか、物悲しい感じもするけど。まっ、そん時ヒマだったらな……
 それより、それ買うのか?」

「うん、そうする。すいません、これ下さい……プロデューサー、結局それも
 買うんですか」

「悪いかよ。どこにも売ってなくって諦めてたんだから、いいだろ……」

こうして、二人はちょっと早いクリスマスツリーと、絶滅寸前の踊る花の人形を
買ったのであった。それと一緒に、「クリスマス残念会」の約束を交わした。

それから、3ヶ月が経った……

        12月25日 PM8:00 765プロ事務所

書類の整理を終えた律子は、会議室へと向かっていた。今
日はクリスマスという事もあって、春香たちに声をかけて、「クリスマス会」を
やろうと計画していたのであった。

「はあ、遅くなっちゃったな。みんな、もう待っているかな」

律子は急いで会議室の扉を開けた。

「みんな、遅くなってごめんね~……って、あれ?」

みんなが居るであろうと思われた会議室には、プロデューサーが一人コーヒーを
飲んで座っているだけだった。

「よう、律子。……まあ、ご覧の通りだ」

「え?何があったのこれ……」

プロデューサーは、みんながどういう経緯でここに居ないかを説明した。

まず、春香は急にクラスの友達との約束が出来てしまったので、
そちらに行ってしまった。春香が言うには「最近、一緒に遊ぶ機会がずっと無かったし……
申し訳ないんですが、今日は友達を優先します!」と、言われてしまい、
プロデューサーも何も言えなかったそうだ。

千早はというと。「こんな時ぐらい、自分から母に歩み寄ってみようと思います……」
との事で、プロデューサーも「まあ、お前がそんなこと言うの、俺は嬉しく思うぞ。
行って来い」と言って、送り出してしまったのだった。

雪歩は、「お父さんが……そんな夜に出歩くのはダメだって……すいません、今日になって
……穴掘って埋まってます~!」……との理由で不在。

真は、久しぶりに父親が帰って来るらしく「母さんから、今日はすぐ帰ってきなさいって
言われて……」と、早々に帰宅してしまった。

亜美と真美は「今日帰ると、パパが亜美たちが欲しかったプレゼント買って来てくれてる
はずなんだよ~♪」「だから兄ちゃん、ごめんね~♪」と言って、ダッシュで帰っていった。

あずさは、何故か両親がこっちに来ているらしく「折角ですから、一緒に食事でも
してきます~。プロデューサーさん、ごめんなさい」で、こちらも帰宅。

やよいは「弟達に、プレゼント買って帰る約束しているんです~……プロデューサー、
だから今日は~……」と言われたので、引き止めるわけにも行かなかった。

伊織だが「本当は嫌なんだけどね、家でのパーティに出なきゃならなくってね~。
……まったく、ママが居なかったらサボってもいいんだけどね……」とまあ、こちらも
久しぶりに家族が全員揃うらしく、こちらも欠席。

「……あれ?美希はどうしたの?」

「ああ、あいつはこう言ってた……」

   『あふぅ、そこの人と律子さんだけだったらいいや。パス~』

「……あの子はまったく。じゃあ、綾乃さんと小鳥さんは?」

「あいつらも、他の奴と飲みに行くんだと。その……一人身の女同士で」

「あー……ご愁傷様でいいのかな。じゃあ、この際社長でも!」

律子がそう言うと、プロデューサーは遠い目をして一言。

「社長は……誘われないと思って、一人で行きつけの居酒屋に……」

シーンと、静寂に包まれる会議室。プロデューサーのコーヒーをすする音が、
やたら大きく聞こえる。

「えっと……という事は」

「ああ。クリスマスに予定も無い暇人が二人、取り残された感じだな……どうするか?」

プロデューサーにそう言われ、律子も考え込んでしまった。まさか、二人でパーティは
寂しすぎる&虚し過ぎる。そんなことを考えていると、プロデューサーが立ち上がり、
コートを着込んだ。

「あれ、帰るんですか、プロデューサー?」

「いや、お前ヒマだろ?だったらメシぐらい付き合え……ヒマな奴同士、「残念会」と行くか」

律子は、ずいぶん前にそんな事を言ったような気がしたが、プロデューサーの提案に
乗ることにした。

「仕方ないですね、お供します。あっ……でも、私いつもの服なんですよね」

「そんなの気にするなよ。……そういえば、衣装部屋になんか羽織る物ぐらいあるかも……」

プロデューサーは、律子が着れそうな上着を探しに部屋を出た。

「まったく、プロデューサーは女心が分かってないんだから。折角出かけるのに、
 普段着なのもどうかと思うのに……」

数分後。

「待たせた。これで良いよな」

「うん、プロデューサーが選んだにしては上出来かな」

「一言多いってーの。そうだ、律子ちょっとこっち来い」

「なんですか……って!いきなり何するんですか!」

プロデューサーは律子の三つ編みを解いて、軽く整えてやった。当然、いきなり
そんな事をされたので、律子はものすごく慌てている。

「ん?一応、お前だってアイドルなんだぞ。少しぐらい変装ってやつだよ。
 そんでもって、俺も……っと」

そう言って、プロデューサーもメガネを掛けた。普段はまったく掛けないのだが、
書類整理などが続く時だけは、目が疲れるので掛けるようにしているのである。

「へー、プロデューサーが知的に見えますね」

「おい、いつもはバカにしか見えないって言いたいのか……」

「さて、行きましょうか。で、どこに連れて行ってくれるんですか?」

「無視かよ……そうだな、歩いていける場所にうまい店があるから、そこでいいか」

そう言って、プロデューサーと律子の二人は事務所を後にした。


20061213211230.jpg



しばらくして、二人は街中を歩いていた。街は、クリスマス一色といった感じで、
イルミネーションやサンタの格好をした店員が街頭に立っていたりと賑やかである。

「綺麗ですね……プロデューサー、こんな時は気の聞いた台詞の一つでも
 言うものですよ」

「え~。俺が『お前の方が綺麗だよ』とか言ったら、お前どうするよ」

「うーん、とりあえず殴っとくわ」

「だろ……うわ、自分で言ってて気持ち悪り……」

「本当にプロデューサーって、クリスマスを女の人と過ごした事無いんですね」

「ねえって。というか、お前らには俺はどんな風に見えてるんだよ……」

律子は少し考え、それを言おうとしたがやめておいた。

「プロデューサーが泣いちゃったら、可哀想ですからね」

「……泣くような事、言われてるのかよ」

そんなやり取りをしながら、二人は街中を歩いていった。

「そういえば、どんなお店なんですか。もしかして、ラーメン屋さんとかですか……」

「いや、ちがう。ほれ、着いたぞ」

プロデューサーが指差した先には、小さなレストランがあった。

「へー、プロデューサーってこんなお店行くんですね。ちょっとイメージ
 沸かないかも」

「悪かったな。たまたま見つけたんだよ。味は悪くないし、値段も安いんで
 最近よく行くんだ」

律子はプロデューサーの意外な一面を見たような気がして、ちょっと可笑しかった。

「ん、なんだよ。何笑ってるんだよ……」

「別になんでも。じゃあ、入りましょうかプロデューサー」

プロデューサーはやや律子の物言いが気になったが、気にしないことにして
店に入った。

店内は静かな雰囲気で、少しレトロな感じであった。律子とプロデューサーは、
奥の席へ通された。

「えっと、こういう所ってあんまり来ないから、お任せしますね」

「わかった。じゃあ、このコースでいいか……」

プロデューサーはおすすめのコースを二人分注文した。しばらくして、
彩りも鮮やかな料理が運ばれてきた。

「お~、これは美味しそうですね。……そういえばプロデューサー、お酒飲まないん
 ですか?」

律子がプロデューサーのグラスを見ると、水が注いであるだけだった。
料理が来る前に食前酒を進められたりしたのだが、それも断っていた。

「そりゃ飲みたいけどさ、お前を送っていくしかないだろう。だから、ガマン
 してるんだよ」

「ああ、そうなんだ。私なら、自分で帰れますし、気にしなくっても」

「だめだ。さっきも言ったけど、お前だってアイドルなんだぞ。それに女なんだし、
夜遅くに一人で歩かせるわけにもいかないからな。まっ、これもプロデューサーの
 仕事の内って事だよ」

「ふーん……ちゃんと考えてるんですね、見直しましたよ」

「普段が考え無しみたいに聞こえるぞ。いいから、食べようぜ」

「そうね、いただきます」

そうして、二人は食事を始めた。料理の方は、プロデューサーが言った通り、
三ツ星物であった。

「……ふむ」

「なんだよ、さっきからこっち見て。なんか付いてるのかよ……」

さきほどから律子が見ているので、耐えられなくなったプロデューサーは理由を
聞いてみた。

「あっ、いえ。食事している時のプロデューサーって、ちょっと子供っぽいな、
 と思って」

「むっ、そうなのか。……って、そんなの観察するなよ!」

「いや、普段は仕事している所とか、他のみんなとじゃれている所ばっかなんで、
 ちょっと新鮮かな~、なんて」

「そういうものなのか?あんまり、普段とは変わらないと思うんだけどな」

そんな、取り留めの無い会話をしながら、食事を進めていった。

「はあ~、おいしかった。プロデューサーに感謝ね、こんな美味しい所教えてもらったし」

食後のコーヒーを飲みながら、律子は満足そうだった。

「そりゃよかった。じゃ、会計済ませてきちゃうからな」

「はい……って、ちょっと待って。私も出しますってば」

律子が慌てて伝票を取ろうとしたが、プロデューサーの方が早かった。

「いいって。それに、こういう時は男が出すもんだろ」

「でも……それは、その、こ、恋人同士とかの場合で……」

「何か言ったか?とにかく、気にするなよ」

そう言って、プロデューサーはさっさとレジへと歩いていってしまった。

「まったく、相変わらず、無意識にカッコいい事ばっかするんだから……」

テーブルに残っていた律子は、そんな事をぼやきながら座って待っていた。

食事も終わって店を出た二人は、事務所の方へと歩いていた。


20061213210439.jpg



「ふう、しかし俺達は何やってるんだかね?……」

「そうですね、折角のクリスマスなのに、暇人二人で……。ん、ならアレにでも
乗りませんか、プロデューサー」

律子が指差したのは、海の近くにある観覧車であった。普段からカップルなどの
利用客が多い場所でもある。

「……お前、俺とあんなのに乗って楽しいか?」

プロデューサーはあからさまに嫌そうな顔をしたのだが……

「いいじゃないですか、クリスマスなんですし。それとも、プロデューサー、高い所
 苦手ですか?」

「ちがうって。……まあいっか、クリスマスだしな」

ちょっと意味が分からない理由で、プロデューサーも観覧車に付き合うことにした。

観覧車の近くまで行ってみると、やはりカップルが多く、二人は少し居心地が
悪くなっていた。

「おい、本当に乗るのかよ……」

「ここまで来たのに、引き下がれないですってば……ほら、順番来ましたよ」

プロデューサーも覚悟を決めた様で、ため息を吐きながらであったがゴンドラに
乗り込んだ。しかし、ゴンドラに乗ってからしばらく、二人とも黙ったままであった。

「……わ~、綺麗な景色ですよ、プロデューサー」

微妙な沈黙に耐えられなかった律子が声を掛けてみるが、プロデューサーは
無言だった。

「ちょっと、プロデューサー。いくらなんでも無視は無いんじゃ……って」

律子がプロデューサーに近寄ってみると、プロデューサーは静かに寝息を立てて
眠っていた。

「おいおい、これがデートだったら、ここから落としてるわね……」

律子は起こしてやろうかと思ったのだが、よく考えてみれば、今日は朝早くから
仕事があり、それでも、クリスマス会に間に合わせようとがんばって仕事をしていた
プロデューサーに律子は感心していた。

「まったく、みんな薄情よね。プロデューサーがこんなに頑張ってくれたのに。
 ……にしても、黙っていればいい男よね、ホントに」

そんな事を言いながら、律子が近距離でプロデューサーの顔をまじまじと
観察していると……

「んっ?悪い、律子……寝ちゃってたか。何やってんだ、おもいっきり窓に顔近づけて」

突然プロデューサーが起きたので、律子はすぐさま離れて窓に張り付いていた。

「ななな、なんでもないですって!あはは、景色がきれいですねー……」

(なんつータイミングで目を覚ますのよ、こいつは~!)

プロデューサーはあくびを一つすると、律子の見ている方の景色を見てみた。

「確かに、綺麗だな。悪いな、こんな景色、俺とでさ」

「べ、別に。どうせ、一緒に見るような人も居ないし……まあ、プロデューサーで
 ガマンしてあげますよ」

「そりゃどうも。律子さんにそう言ってもらえると光栄です……なんてな」

プロデューサーが悪戯っぽく笑って言うと、律子はちょっと「ムッ」としながら言い返した。

「それ、ありがたみが無いわね……まあ、いいですけど。プロデューサーだって、
 一緒に見る人がいない暇人なんですから」

「ははは、それもそうか。お互いに、寂しいクリスマスだな」

「あ~……それもそうね、あはは」

二人は、ゴンドラが下に下りるまでの間、ずっとこんな調子でどうでもいいような話で
盛り上がっていた。傍からみれば、カップルに間違われそうな位に仲が良さそうに
見えていた。

30分後……

事務所まで戻ってきた二人は、駐車場に居た。

「じゃあ、律子。送ってやるから、道案内頼むぞ」

「了解しました。……それじゃあ、お邪魔します?」

律子が助手席に座りシートベルトを着けると、プロデューサーはエンジンを掛けて、
勢いよく車を走らせた。

ガサガサ……

「へー、プロデューサーって、車を運転している姿が様になりますね」

「そうか?まあ、普段はお前らの運転手さんだけどな」

ガサガサ……

「……律子さんよ、勝手に人の車を漁らないでくれよ」

「あ、いや、プロデューサーって、車で普段どんな曲聴いてるのか気になったので」

と言いながら、律子は勝手に車のCDを見始めた。無論、プロデューサーは運転中
なので手が出せない。

「ふーん、ちゃんと私たちのCDも聴いてくれてるんだ。ん?これなんて読むのかしら」

「ああ、「リュシフェル」だよ。もう解散しちまったけど、結構カッコいい曲が多かったんで、
 好きだったんだよ」

「へー……あれ、なんでこんなアニメの曲まであるの?」

「それは、亜美と真美が勝手に置いていくんだよ。暇なときは聞くけどな」

律子は、プロデューサーにCDを見せては「これは?」などと聞いて回った。
プロデューサーも、「しょうがない」といった感じでそれに答えていった。だが、不思議と
それが嫌ではなかった。律子も、プロデューサーの普段知らなかった一面を見れて
楽しそうだった。

「そういえば……プロデューサーの曲は無いんですか?」

律子がそんな事を言うと、プロデューサーは目線を逸らせて黙ってしまった。
プロデューサーは過去に歌手をやっていた事があったのだが、ある理由でやめて
しまった経緯がある。その事を、あまり他の人には語っていなかった。

「無いんですか~?ちょっと、無視しないでくださいよー!」

プロデューサーのほっぺを突付きながら律子が問い詰めると、大きなため息を
一つ吐いて答えた。

「無い……あるわけ無いだろう」

「ふーん……聞きたいな~、プロデューサーの歌」

プロデューサーは無言のまま、赤になった信号を見つめていた。ちなみに、この間も
律子は頬を突付いている。

「聞きたいな~……あっ、そうだ!クリスマスプレゼントって事で!」

「あ、あのな、他のにしてくれって……そっちの方がいいぞ。それより、次はどっちだよ」

「じゃあ、歌ってくれたら教えます。みんなには、内緒にしておきますから」

「お前な……本当に、他の奴には黙ってろよ」

色々と諦めたプロデューサーは車を適当な所に駐車させ、CDのが置いてある所に
手を伸ばした。

「ん、曲はこれでいいな。文句言うなよ……」

「何て曲ですか……どれどれ、「ETERNAL SNOW」ですか」

「ああ、元は女のボーカルなんだけど、男が歌ってるバージョンもあるんだよ。
 2,3年前曲なんだけど、歌詞が良いから気に入ってるし、この季節にピッタリだからな。
 ……じゃあ、一回だけだからな」

「はい、お願いしますプロデューサー」

プロデューサーは、CDを車のオーディオにセットしてスイッチを入れた。
すると、静かな雪をイメージした様なメロディが流れてきた。そして、プロデューサーは
隣に居る律子の為だけに歌った。車の中には、切ないメロディとプロデューサーの
静かな歌声が、数分の間ではあったが響いていた……

「……これで満足か?って、なんで泣いてるんだよ!」

「えっ?あれ、本当だ。曲に感情移入しすぎちゃったかな、あはは」

律子は涙を拭き、プロデューサーの方を向いてお礼を言った。

「ありがとうございました。でも、相変らず上手いですね?、感心しましたよ」

「そうかよ……で、これからどっちの道を行ったらいいんだ?」

車のエンジンを掛け直し、プロデューサーが律子に訊ねた。

「あ、そうでした。そこを右に曲がったらすぐですよ」

「……なに?」

「だから、右に曲がってすぐ。そこが私の家ですよ」

律子が営業スマイルの様な笑顔でそう言うと、プロデューサーはハンドルに
頭をぶつけて一言。

「……やられた」

それから、律子の指示通りに右へ曲がり、律子の家に到着した。

「それじゃあ、お疲れ様でした。それと、ありがとうございました、色々と」

「いいって。まあ、明日も仕事あるんだし、ゆっくり休めよ」

律子が車を降りようとした時、プロデューサーは何か思い出したようにそれを
引きとめた。

「なんですか?私、忘れ物ならしてませんけど……」

「してるって。俺はプレゼント貰ってないぞ。俺だけ貰えないのは、ちょっと
 不公平だぞ」

律子は「うっ、しまった」と思いながら、どうするか考えていた。

「うーん、といっても、あげれる様な物あったかな?……あっ、そうだ」

律子は自分の鞄を開けて何かを探し始めた。プロデューサーはそれを不思議そうな
顔で見ていた。

「おい、律子。無理に探さなくてもいいぞ、冗談半分で言ったんだからよ……
 聞いてるか?」

「あった!はい、プロデューサーにはこれをあげます!」

そう言って律子から渡されたのは、可愛らしいカエルのキーホルダーだった。

「……俺の歌って、こんなのと同じ価値なのかよ」

「なによ~、文句言わない。せっかく、私とお揃いなんですから」

そう言って、律子は自分の手帳にぶら下がっている、もう一個のカエルの
キーホルダーを見せた。

「本当だ、色違いなのか。……はあ、仕方ねえな、これで我慢してやるよ。
 ありがとう、律子」

プロデューサーは、貰ったばかりのキーホルダーを車のキーに付け、
律子にお礼を言った。

「それじゃあ、プロデューサーも気を付けてくださいよ。あっ、スピード
 出しすぎたりとか」

「はいはい、分かってるって。じゃあ、また明日な!」

プロデューサーはそれだけ言い残して、早々に律子の家を後にした。

「まったく、人が心配してやってるのに。……ふふ、しょうがない人だな」

そして、律子も風邪を引いてはいけないと思い、家の中へと急いだ。
……そして、次の日。

765プロ事務所 朝……

「プロデューサーさん、おはようございますー!」

「ああ、おはよう、春香。朝っぱらから元気だな、お前は」

「えへへ、それが取り柄ですから。そうだ、プロデューサーさん、昨日はごめんなさい。
 後で、聞いたんですが、他のみんなも急にキャンセルだったって……」

春香が申し訳なさそうしていると、プロデューサーは笑いながら答えた。

「いいって、気にするなよ。友達と昨日は楽しかったか、春香?」

「はい!本当に、久しぶりにみんなと遊べてよかったです!あっ、千早ちゃん、
 おはようー!」

「おはよう、春香。プロデューサーも、おはようございます」

「おはよう。お前は、昨日はどうだった?」

すると、千早は少し笑みをこぼしながら昨日の事を話した。

「そうですね……思ったほどはギクシャクしなかったです。ちょっと意外でしたね」

「そっか……まあ、いい事だ」

「あれ?プロデューサーさん、そのキーホルダーって、前から付いてましたっけ?」

春香が、デスクの上に置いてあった車のキーを見てそう言った。

「ああ、これか……昨日、女から貰ったんだよ」

「へー、そうなんですか。女の…………って、ええーー!!!」

プロデューサーの予想外の発言に、春香は思わず絶叫してしまった。
だが、隣の千早もさすがに驚いているようであった。

「プ、プロデューサー、本当なんですか?」

「本当だって。一緒にメシ食って、観覧車にも乗ったな。その後、ちゃんと家まで
 送ったぞ」

それを聞いて、さっきまで元気だった春香は、真っ白に燃え尽きた様に動かなく
なってしまった。

「は、春香。ちょっと、気を確かに」

「そ、そんな~……プロデューサーさんが……」

「言っとくけど、ウソは言ってないからな」

「プロデューサー、追い討ちを掛けないでください。これじゃあ、春香が今日は
 使い物にならなくなります」

そんな3人のやり取りを離れた所で見ていた律子は、必死になって笑い出すのを
堪えていた。

「ど、どうしたの?律子さん、机に突っ伏して……」

様子の変な律子を心配して、綾乃が声を掛けてきた。

「ううん、何でも。あー、お腹が痛かった……あ、そうそう、綾乃さんは昨日どうでした?
 その……」

すると、丁度そこへ小鳥もやってきて、遠い目をしながら一言こう言った。

「聞かないで……」

「綾乃さん……、いつでも付き合いますからね、私!」

とても切ない表情をしている綾乃の手を握って小鳥は言った。

「ありがとう、小鳥さん。……そういえば、律子さんは昨日どうしたの?」

「そうですね、確かクリスマス会は無くなっちゃったんじゃ……」

二人に昨日の事を聞かれ、プロデューサーとの事を話そうと思ったのだが、
そこで律子の悪戯心にスイッチが入ってしまい、こう言った。

「ええ、素敵な男性とディナーを楽しみましたよ。その後、観覧車にも乗ったし。
 ……あの景色、綺麗だったな~。もちろん、その後は家まで送ってもらいましたよ」

律子がそう言うと、綾乃と小鳥は固まって動かなくなってしまった。そこへ・・・

「えーー!律っちゃん、昨日デートだったのー!」

「すごーい!おとなー!ねえねえ、誰と~!どんな人~!」

いつの間にそこに居たのか、亜美と真美が律子を質問責めにしていた。
さらにそこへ、美希、真、あずさまで来てしまった。

「あふぅ、律子さんすごいね~。ねえねえ、どんな人なの?」

「り、律子がデートか……羨ましいな~。、ボクもいつかクリスマスにデートして
 みたいな……」

「あらあら、それはおめでたいですね~。それで律子さん、男性の方はどんな方
 だったんですか~?」

律子は心の中で「ちょっと、失敗だったかな」とか考えたが、面白そうだったので、
そのままにしておく事にした。

「そうですね、メガネの似合う人でしたよ。それ以上は内緒ですよ」

律子がそう宣言すると、綾乃と小鳥はがっくりうなだれてしまい、他のみんなは、
「おおー!」とか声を上げている。

「言っておくけど、ウソじゃないからね。さーて、今日も仕事、頑張るわよー!」

元気よく立ち上がった律子が手にしている手帳には、あのカエルのキーホルダーが
揺れていた。

おわり
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【 2007/03/06 (Tue) 】 アイマスのSSですよ♪ | TB(0) | CM(1)
これはもうにやにやのいい作品ですね。
もうおもしろいっす!!
【 2008/03/03 】 編集
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