春屋

こちらはゲーム「THE IDOLM@STER」「東方project」を応援しているサイトです。管理人のプレイ日記や、SSが置いてあります。
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風邪引きプロデューサーとやよいの看病

これはアイドルマスターの二次創作SSです。
多少設定とは違うかもしれませんが、気にしない方はこのまま前進。

こちらは、やよいの誕生日本「やよぴったん」に載せてもらった小説です。




「へ……、へっくしぃ!!……あ~、調子わり~」

と、言ってみた所で誰からも返事が返ってこないんだけどな。
俺は765プロという芸能事務所で働いているプロデューサー……なんだが、
今はこの通り風邪でダウンしている。まったく、普段は他の奴らに
「風邪なんか引くなよ~!」と言っていただけに情けない。
……それにしても、こういう時、一人だとなんていうかヒマだな。
まあ、久しぶりにゆっくり出来るしいいか。

ピンポーン。

「……う~、出る気がしない。無視だ、無視……」

ピンポーン、ピンポーン。

「留守だってば、早く諦めろよ……」

ピピピピピピンポーン!!ガンガンガン!!

「だーーーーー!ゲッホゲホ、誰だよ!」

ものすごくだるい体を引きずりながら、俺は玄関のドアを開けに向かった。
これで新聞屋とかだったら、どうしてくれようか……

ピンポーン、ピンポーン!

「今開けるって!何度も何度も鳴らすな、ゴッホゴッホ!」

やっと玄関のドアの前まで辿り着き、俺はドアノブに手を伸ばした。

ガチャン。

「新聞ならいらねえし、料金回収だったら明日に……」

「あー!兄ちゃん、生きてた~!」

「よかった~!倒れてて、そのまま死んじゃってたらいやだもんね~!」

「コラコラ、勝手に殺しちゃダメでしょうが。どうも、具合は……
 あんまり良くなさそうですね」

「……」

俺は何事も無かったようにドアを閉める事にした。

「ちょっと待ちなさいって!せっかく、心配して来てあげたんだから
 それは無いでしょう!」

「兄ちゃんひどいよ~!」

「そうだそうだ~!」

正直、悪夢かと思った。何でこんな時に亜美真美、律子の相手をしなきゃ
ならんのだ。

「頼む、俺の事を思うならそっとしておいてくれ……ゴホゴホ」

「でも、それだと心配してここに来ようって言い出したやよいが
 かわいそうだよ。ね、やよい」

……美希までいるのか。そして、その後ろにはやよいが不安そうに
顔を覗かせていた。

「あ、あの~、プロデューサー。迷惑でしたら、帰りますけど~……」

うっ、そんなに悲しそうな顔するなって。俺の方が悪者みたいじゃないかよ。

「やよいっち、かわいそう~」

「そうだよね~、せっかく一人で辛いと思って、やよいっちが心配して
 くれたのに~」

「わっ、いいって別に。プロデューサーもかなり具合悪そうだし、
 迷惑掛けちゃだめだよ」

うう、仕方ないな本当に……

「……ゴホッ。あ~、もういいや、お前らさっさと入れ。言っておくけど、
 風邪がうつっても知らないからな」

結局、俺の負けだった様だ。……いや、何に負けたのかは知らないが。

『おじゃましまーす!』

「何ももてなしは出来ないからな、適当にその辺に座ってくれ。
 俺は寝てるから……って、亜美さんと真美さんは何でベットの下を
 調べてるんですか」

亜美と真美の二人は、部屋に入るなり速攻でベットの下を調べ始めやがった。
このチビッコらは何処でそんな知識を覚えてくるんだよ。

「う~ん、何も出てこないね~」

「おかしいな~、男の子のベットの下はいろんな意味でデンジャラスゾーン
 だって○ちゃんねるにも書いてあったのに」

「……チビッコはそんな掲示板見ちゃいけません。ゲホゲホ!」

「わわ!プロデューサー、大丈夫ですか!」

ちょっと辛そうな咳をしたせいか、やよいが心配して駆け寄ってくれた。
そこまで大した事は無いんだけどな。

「もう、亜美に真美、プロデューサーは病気なんだから、おとなしくしなきゃ
 ダメだよ」

『は~い』

おお、なんかやよいが頼もしく見える……って、よく考えたらやよいは
高槻家で一番上のお姉さんなんだよな。

「ハイハイ、やよいの言う通り二人ともあんまり騒いだらだめよ。
 プロデューサー、何か食べました?」

「ん、今日はまだ」

と言うか、あんまり食べる気がしないので昨日の夜から食べてない。
律子はため息をひとつ吐くと、腕まくりをした。

「はあ、それじゃあ治る物も治りませんよ。台所、お借りしますね」

そう言って、律子はキッチンの方へ行ってしまった。どうやら、何か作って
くれるらしい。助かった、こんな状態だから料理する気力も無かったからな。
俺は上着を羽織って、ベットに腰掛けながら待つ事にした。

「ねえねえ、何でこの部屋ってあんまり物が無いの?」

部屋の真ん中にあるコタツに入りながら、美希が俺に聞いてきた。
まあ、確かにTVとかあんまり本が入ってない本棚とかしかないけどな。

「別に、必要ない物置いてもしょうがないだろ」

俺がそう言うと、美希は部屋をぐるっと見回してこう言ってきた。

「ふ~ん。でも、さみしくないの?だって、一人で暮らしてるんだよね」

「うーん、別に気にした事は無かったな。それにあの事務所で働くまで、
 ずっと一人だったし」

俺は早くに家族を亡くしている。そのせいもあってか、一人でいる事に
ヒマだと思う事はあれ、さびしいと思ったことはなかった。

「プロデューサー、今は平気ですよね。だって、私たちがいるんですから」

やよいが温かいお茶を入れてくれながらそんな事を言ってくれた。
……やよいの言うとおりか。まあ、悪い気はしないな。

「やよいっち、そこはウソでも『私がいるんですから』とか言わなきゃ~♪」

「そうそう、やよいっち甘いな~♪」

「わ~!そ、そんな事はいいの~!プロデューサー、気にしないでください~!」

「何をそんなにあわててるの、やよい?」

美希の言うとおり、何をあわててるんだか顔を真っ赤にしたやよいは
亜美と真美にからかわれていた。そんな事をしている内に、なんかいい臭いが
してきた。

「律子、おかゆか?」

「そうですよ。消化もいいし、栄養もありますよ」

「……この臭いだと、味噌味か?ついでに、卵も入れただろ」

「ええ、そうですけど。よく分かりましたね」

律子がキッチンから驚きの声を上げていた。まあ、伊達に一人で暮らしている
わけではない。料理はかなり得意である。前に作った物を事務所に持って
いったら、春香達がすごくびっくりしていたな。

「ねえねえ!兄ちゃんは、料理の出来る人とそうでない人、どっちの人の方が
 好き?」

「なんだよいきなり」

真美にいきなり質問された俺はちょっと考えた。う~ん、別に俺が出来るから
気にはしないが……

「そうだな、出来る奴の方がいいかもな。自分以外の手料理っていうのも
 少しは興味あるし」

「へ~……。じゃあ、律子さんポイント高いの」

ガッシャン!

何やらキッチンから盛大な音が響いてきたみたいだが……

「お、おい律子、大丈夫か?」

「な、なんでもないですよ!ちょっと手が滑っただけで、あはは~……」

なんか様子が変な気もするけど、気にしないことにした。ん、何でやよいは
ちょっとガッカリみたいな表情してるんだ?

「どうかしたか、やよい」

「はわっ、なんでもないです?!……はあ、お料理頑張ろう」

最後の方が聞き取れなかったが、まあいいや。そんな事をやっている内に
律子がおかゆを持ってリビングに来た。

「えっと、何処に置けばいいですかプロデューサー?」

「ああ、コタツの所でいいぞ。俺もそっち行くから」

まあ、その位なら動けるしな。そう思って立ち上がると、ほんのちょっと
足元がぐらついてしまった。そんな俺にやよいが肩を貸してくれた。

「わわっ、プロデューサー、大丈夫ですか」

「ああ、平気だって。ありがとう、やよい」

とは言ったものの、コタツまで数歩の距離を俺はやよいの肩に手を置いて
歩いている状態だ。むー、意外と弱ってたんだな俺。結局、そのままの状態で
俺はコタツの方まで歩いて行く事にした。

「やよい、重くないか?」

俺の身長は180ちょっとに対し、やよいは145cmぐらい(たしかプロフィールに
そう書いてあったはず)。結構重いと思うんだが、やよいはブンブンと首を
振った。

「この位なら平気ですよ。いつもお世話になってるんですから、気にしないで
 ください」

「だって、よかったね」

コタツに入りながら、いつも通りのマイペースで美希が言った。

「……そう思うんだったら、お前も肩貸せよ美希」

「ん~、めんどいからパス」

……治ったら覚えておけよこいつは。やっとの事でコタツに腰掛けた俺は、
早速律子の作ってくれたおかゆを食べる事にした。

「それじゃ、いただきます。……ん、80点だな」

「えー、残り20点は何が足りないって言うんですか、プロデューサー?」

「俺、容赦なく言うけどいいのか」

「……いや、そのまま食べててください」

そんな事言った俺だが、正直おいしいと思った。こういうのって久しぶりな
気がする。

「そういえば、兄ちゃん。何で風邪引いたんだろうね?」

「そうだね。普段、病気なんてしないのにね~」

うーん、何でだろうな。自分でも理由が分からない。俺が答えないでいると、
律子がため息を付いた。

「そりゃあ、遅くまで仕事で帰れないとか言って、事務所のソファーで寝てたり
してるからですよ。プロデューサーはちょっと無理しすぎなんですよ」

うむ、一理あるな。まあ、最近ずっと休みなんてなかったからな。

「うう~、プロデューサー……本当に大丈夫なんですか?」

たくっ、律子が余計な事言うから、やよいが泣きそうな顔で心配してる
じゃないかよ。まあ、心配かけないためにもここは……

「やよい、心配要らないって。こうやって食事も取った事だし、後は薬飲んで
 寝れば明日には治ってるよ」

とか言いながら、正直ちょっと辛いのだが、出来るだけ自然に笑顔で言って
やった。そのおかげか、やよいにも笑顔が戻ったみたいだ。

「よ、よかったです!私、あんまり病気しないんで、誰かが病気になってるの
 見るとすっごく心配なんです~」

なるほどな。自分は元気でも、弟や妹が病気の時は見てるだけでも辛かったん
だろうな。というか、今時珍しいぐらい優しい奴だな、やよいは……。
そう思うと、こいつらに爪の垢煎じて飲ませてやりたいとか思っちまう。

「ん、なに兄ちゃん?こっち見て?」

「亜美たちに何かついてる~」

「ん、なんなの?」

「……なんでもねえよ。はあ」

ため息も出るってもんだよな。俺はそう思いながら心の中でもため息を
付いていた。

それから数分後。

「ご馳走様。律子、ありがとうな。本当に助かったぜ」

「そんな、大げさですよ。じゃあ、残りは夜にでも食べてくださいね」

そこまで考えてくれたのかよ。うーむ、本当に感謝。そういえば、ちょっと
ばかし汗掻いたな……

「ちょっと着替えてくる。お前らはそこでゆっくりしていろ」

「は~い……で、兄ちゃん何処で着替えるの?」

「……あっちの洗面所だよ。ここで着替えろって言うのか、お前らは」

「ん~、真美はちょっと気になるな?。兄ちゃんが、ものすごい勢いでお腹が
 割れたりとか♪」

「ミキはそんなんだったらヤ~……」

本当にこいつらは……女なんだから、もうちょっと何ていうか……。
そんなバカな話していると、亜美真美、美希とは対照的に、顔が赤い律子と
やよいがいるな。って言うか、これが普通の反応じゃないのかよ。

「……やよい、律子。そんなすごい勢いで腹筋は割れてないからな」

「はわっ!いえ、別にそんな事は!」

「さっ、さっさと着替えてこんかーい!」

うむ、少しからかったら怒られてしまったか。そんなに赤くならなくても
いいのに。やよいはともかく、律子って意外とこういうのに弱いな。
……と、バカなこと言ってないで着替えてくる事にするか。でも、その前に……

「先に言っておく、着替え中にこっちに来たりしたら、お前らの腹筋が
 割れるまで筋トレさせるからな」

「うっ……は~い」

「さすがにそれはいやだね~」

「ミキは別に見に行かないし……あふぅ」

さて、本当に着替えてくるか……。

それからしばらくして。着替えが終わった俺がリビングに戻ってくると、
5人は帰り支度をしていた。

「おっ、帰るのか?」

「そうですね。私はそろそろ事務所に戻らないといけないし、この子達も
 送っていかないと」

そっか、普段なら俺が車を出さなきゃいけないんだったな……。

「すまないな、律子。後は頼むぞ……」

「それじゃあね、兄ちゃん。早く治ってね~」

「うん、治ったらまた真美たちと遊ぼうね」

「ん、おだいじにね~」

「ああ、ありがとう。気をつけて帰れよ……、どうしたやよい?」

「あの~……」

何やらやよいが俺の方を向いて心配そうにしている。……しょうがないな。

「やよい、俺だって子供じゃないんだぜ、心配ないって。ほら、手を出せ」

「あっ……、はい!」

俺はやよいの出してくれた手に自分の手を当てた。やよいがよくやる元気の
おまじないみたいな奴だ。

「ハイタッチ。ほら、心配するなよ」

「わかりました……プロデューサー、無理しないでゆっくり休んでください」

ふう、よかった。なんとか安心させる事が出来たみたいだな……。

「それじゃあ、お邪魔しました。お大事に、プロデューサー」

「ああ、律子、みんなにもよろしくな!」

ドアを閉めようとした時、やよいがまだ心配そうな表情をしてこっちを見ていた。

「やよい、またな~!」

「は、はいー!プロデューサー、お大事にです~!」

俺は軽く手を振りながらやよい達を見送った。やよい達の声が聞こえなく
なるのを確認して、俺はベットに戻りそのまま倒れこんだ。

「っく、ッゴホゴホ!!ちくしょう~……あいつらの前だからって、ゴホゴホ、
 無理しすぎたかな……あはは、ゴホ!」

今までガマンしていた分、一気に体調が悪くなった気がする。ちっ、笑ってる
場合じゃないかなこれは?……でも、あいつらに心配かけるのは嫌だしな。
特に、やよいのあんな顔は見たくないからな。

「まったく、ゴホッ、俺って奴はプロデューサーの鏡だな……」

あ、やばい……気が遠くなってきやがった……これじゃあ、またやよいが
心配するな……どうか、このまま永遠に眠りませんように……。
そう思いながら、俺は眠りに落ちた……

……

………………

………………………


……グスッ……グスッ……プロデューサー……

(……ん?誰かが泣いてる様な……誰だ?)

……体はだるい。だが、思考が出来るって事は俺はまだ生きてるらしいな。
ゆっくりと目を開けると、何故か俺の横でやよいが泣きながら座っていた。

「うう~……グスッ、うっう~」

「……なんで居るんだよ。帰れって言ったはずだぞ」

俺がやよいの頭に手を置いて俺が話しかけると、泣いていたやよいはびっくり
した顔で俺の方に向き直った。

「プロデューサー!だいじょうぶですか!どっか痛くないですか!
 えっと、えっとー!」

両手をパタパタさせながらやよいは俺に色々と聞いてきた。あいかわず
リアクションが大きい奴だな。まあ、そこが面白いんだけどな。

「落ち着けって……。そっか、お前が看病しててくれたのか、悪いな」

すると、やよいはちょっと怒った顔をして俺を見ていた。あれ?何か
怒らす様な事言ったかな。

「プロデューサー……、なんで調子が悪いって言ってくれなかったんですか~。
 そんなに、私たちじゃ頼りなかったですか」

……そんな顔するなって。まあ、俺が自分の体を過信していたのが原因だしな。

「ごめん、やよい。俺さ、お前らが心配してる顔見たくなかったから……
 本当にごめん」

「あっ、そんな、プロデューサーを責めてる訳じゃ!」

「……それでも、ごめん。お前を泣かせちゃった訳だしな」

そう言って、俺はもう一回やよいの頭を撫でてやった。
本当に悪い事したな、俺は。

「それにしても、どうやって部屋に入ったんだ?」

「プロデューサー、覚えてないんですか?カギ、閉め忘れていましたよ」

うっ、物騒な事極まりないな。普段ならケンカで負けるほど弱くない俺だが、
この状況では小学生にも負けかねん。泥棒が入ったら、即アウトだったな……。

「あれ、他の奴らはいないのか」

「はい。帰る途中で私、やっぱりプロデューサーの事が気になってしょうが
 なかったんで、それで戻ってきたら……」

そこで俺がぶっ倒れてた訳か。って、今何時だよ……うわ、もう9時じゃないか。

「おい、やよい。もうこんな時間だぞ、帰らなくっていいのかよ」

「あ、それなんですけど……えっと、律子さんに携帯と一緒にこれを渡され
 ました」

やよいが持っているのは律子の携帯だな。自分のを貸してやったのか。
……それとメモか?

『プロデューサーへ。やよいがどうしても戻ると言ったので、私の携帯と
 このメモを渡しました。このメモに風邪の対処方と、いざという時の病院の
 連絡先を書いておきます。ちょっとでも危ないと思ったらすぐに病院に行って
 ください。ああ、そう。やよいのご両親には、私が事務所から電話しておくので
 心配なく。やよいにも家に連絡する様に言ったので大丈夫です。
 では、早く直してくださいね。 律子』

『兄(C)早く元気になってよね→!!!ゼッタイだよ→O(≧∀≦)O 
 亜美⇔真美』

『とりあえず、元気になってね。そうじゃないとタイクツだから、あふぅ。
 ミキ 』

「あいつら……」

俺は渡されたメモを見てちょっと嬉しかった。後で礼を言わないと。
……ん、最後の方に続きがあるな。

『PS まあ、プロデューサーなら大丈夫でしょうが……何かしたら捕まり
ますからね。律子』

『兄(C)→!おまわりさんにつかまっちゃダ→メだからね~(><)
 亜美⇔真美』

『ん~、プロデューサーが捕まったらミキがトップアイドルになれないから
 カンベンなの。ミキ』

俺はそのまま無言でそのメモを握りつぶした。

「はわっ!プロデューサー、だめですよそんな事したら~!」

「あー、気にするな。内容は全部覚えたからな……あいつら、治ったらマジで
 覚えておけよ」

俺は今日ほど全力で風邪を治そうと思った事はなかった。さてと、
それは後にしておいて。

「で、やよい。家の人でも迎えに来るのか?」

「え、来ませんけど?」

……ん?

「えっ、じゃあ、事務所の誰かが来てくれる事になってるとか……」

「いいえ、今日はプロデューサーに着きっきりで看病しまーす!」

いつも通り、元気良く両手をあげてやよいがそう言った。……何だと、
ちょっと待て!やよい、お前もそんな気楽に言うなよ!えーっと、そうだ!

「お、お前、明日学校あるだろう!それじゃ、明日大変だろう!」

「明日は日曜日ですよ、プロデューサー」

俺は壁にあるカレンダーを見てみると、確かに明日は日曜日だった。
……ジーザス!

「あ~……家の人はなんて言ってるんだよ」

「えっと、プロデューサーならお母さん達も知ってる人だし、「日ごろの恩を
 返してらっしゃい」って、言われちゃいました~!」

……もう一回。ジーザス!!やよい母よ、仮にも男の家に一人娘を泊める許可を
ホイホイ出さないでくれ。はあ、やよいは母親似かもな……。

「わかった、俺も諦めた。お願いします……」

「はい!がんばりまーす!」

俺が精神的にダメージを食らっているのに対し、やよいは元気いっぱいである。
うう、そんなやよいが羨ましい。

「早速なんですけど、今何かしてほしい事ありますか、プロデューサー?」

やる気一杯のやよいが早速俺に聞いてきた。さて、どうするかな。

「そうだな……、じゃあ少し腹が減ったから、律子が作ってくれたおかゆ
 暖めてきてくれないか」

「はーい!わっかりましたー!」

やよいは元気良くそう言ってパタパタとキッチンへ向かった。そんなに俺の
看病するのが楽しいのか、あいつ?

「あっ、火に気をつけろよ」

「平気ですよ。これ位ならお母さんのお手伝いでやった事ありますから♪」

なら心配は無いか。俺はベットに横になりながら、やよいを待っている事
にした。

「ふんふんふふ~ん♪」

やよいの奴、鼻歌まで歌ってるよ。それにしても、なんでやよいには俺が
痩せ我慢していたのがばれたんだろう。……そう考えていると、丁度いい所に
やよいがリビングに戻ってきた。

「プロデューサー、お待たせしました~!あっ、動けますか?また、
 肩貸しましょうか?」

「ああ、平気。俺が倒れている間、お前が看病してくれたおかげかもな」

そういえば、倒れる前よりちょっとだけだが体がだるくないかも。
薬が効いてきたおかげ……いや、やよいのおかげか。俺はそう思いながら
コタツの方へと移動した。

「いただきます。……そういえばやよい、何で俺が体調悪いのガマンしてる
のが分かったんだ?……女の勘とか?」

「えっと~……私たちが帰る時に、プロデューサーがハイタッチしてくれた
 じゃないですか。あの時、プロデューサーの手がすっごく冷たかったんです。
 それで……」

うっ、アレは逆効果だったのか。まあ、そのおかげで俺は生存できたわけ
だが……。

「何はともあれ、本当にありがとうやよい。そうだ、治ったらお礼しなきゃな。
 何でも言ってくれ……あっ、俺の出来る範囲でな」

「わわっ、そんなのいいですってばプロデューサー!私は、プロデューサーに
 いっぱい助けてもらってますし、お礼なんて……」

やよいはそう言ってくれたが、ここは俺も引き下がるわけにはいかない。

「ん……じゃあ、何でも好きなもの食べさせてやるよ、何でもいいぞ」

「な、なんでも……ううん、でもプロデューサーにそんな……でも、何でも
 って事は~……」

やよいが両手で頭を押さえながら考え込んでしまった。多分だが、やよいの
頭の中では天使と悪魔が戦ってるんだろうな……あくまで俺の想像だけど。

「じゃ、じゃあプロデューサー……本当に何でもいいんですよね?」

おっ、悪魔が勝った。……じゃなくって、どうやら決まったらしいな。

「いいから言ってみろって、遠慮しなくっていいぞ」

ちなみに、このセリフはやよいだから言える。これが他の連中だったらと思うと
……やめよう、病状が悪化する。

「そ、それじゃあ!か……か、か、かっ!」

「や、やよい、落ち着けって」

「か……、カニが食べたいですー!」

……カニ?カニって、あの凶悪な甲羅とハサミで武装しているアレか?

「なんでカニなんだ?」

「えっと……、恥かしいんですけど?、私まだ一回も食べた事が無いんですよ。
 だから、一度でいいから一匹丸ごと食べてみたいな~って。……はわっ!なんで
 プロデューサー泣いてるんですか!やっぱり、そんな高いのはダメでしたか?!」

「……いや、もう好きなだけ食わせてやるから、家族にもお土産持たせてやるから。
 俺はここに誓ってやる、絶対にお前にカニを食べさせてやるからな!」

俺はやよいの頭をグリグリ撫でながらそう言ってやった。それと同時に
「娘にこんな思いさせるなよ、やよい父……」と心の底から思ってしまった。
……本当に苦労してるな~、こいつは。

「ふう、ご馳走様。やよい、流し台の所に置いておけばいいからな」

「はーい。よいしょっと~」

食べ終わった食器をやよいが運んでいった時、俺はふと気が付いた事が
あった。

「そういえば、お前は何か食べたのか?」

「えっ?……そういえば、すっかり忘れてました~。うう~、お腹空いた
 かも~」

本当に忘れていたのか、しょうがない奴だな。まあ、俺のせいでもある
わけだし……

「やよい、適当に台所にある物食べてもいいからな。冷蔵庫にも俺が作り置き
しておいた何かが入ってたと思うから、それも食べていいぞ」

「ありがとうございます、プロデューサー!」

やよいはトタトタとキッチンへと走っていった。しばらくしてやよいが持って
きたのは、俺が安売りで買ってきた無駄にでかいカップめんと俺が作っておいた
漬物だった。

「足りるのか?……いや、そのカップめんがでかいから平気か」

さっきも言ったとおり、本当に無駄にでかい。まあ、パッケージが赤くて
「3倍!!」とか書いてあったしな……

「うっう~!プロデューサー、このお漬物おいしいですー!」

「そっか、よかったらまだあるし持って帰ってもいいからな」

「はーい。あっ、もう3分経ったかも……それじゃあ、いただきまーす!」

食事の時も本当に元気な奴だよな。……あれ、そういえば何かすごく大事な
事を忘れている様な気がするんだが。

「……あっ!!やよい待て!そのラーメン確か!!」

「ふえ?……うっ、うっう~~~!!」

あー、遅かった……あのラーメンは「3倍!!」でかいのと……

「プロデューサー、このラーメンすっごいからいです~~!」

そう、「3倍!!」辛かったのだ、すっかり忘れてた。

「だ、大丈夫か?水持ってきてやるよ」

やよいは涙をポロポロ流しながら舌を出していた。俺でも辛そうだと思う物
なんだから、やよいは大変だろう。水を持ってきてやろうと立ち上がった
俺をやよいは引き止めた。

「あう、プロデューサーは寝ててくだしゃい~……うう~、辛いよ~」

やよいは涙目になりながらキッチンの方へ歩いていった。……しかし、
残ったこれどうするか。

「うーむ、俺が食べるしかないか。食いきれるかちょっと自信ないけど」

だけど、捨てたりしたらやよいに怒られそうな気もするしな。仕方なく、
俺が食べ始めるとやよいが戻ってきた。

「ずずず……辛っ!!うう、胃に悪そうだな……」

「はふぅ~、やっと収まりました~……はわっ!!」

戻ってくるなり、やよいは変な声を上げて固まってしまった。

「ん?ああ、これお前じゃ食べれないだろう。ちがうの取って来ていいぞ」

「えっと!そのー!プロデューサー、そのおはしって……」

「あ、悪い。近くに割り箸も無かったんで使っちまった。別の取って
 きてくれ」

ところが、やよいは顔を赤くしたままモジモジしていた。どうしたんだこいつ?

「あっ、俺がお前の箸使ったのがそんなに嫌だったか?こんなんだから、
 律子に無神経とか怒られるんだろうな」

「いえ、別に!で、でも……か、間接……」

「ん?なんか言ったか?」

「な、なんでもありませーん!新しいおはし取ってきますー!」

やよいは慌ててキッチンへ戻って行った。……変なやよいだな。

それから、戻ってきたやよいは、食事中に俺と目が合うと「はわっ!」とか
「わわっ!」とか言いながら赤くなって下を向いてしまった。うーん、一体
なんなんだ?

食事も終わり二人で適当にTVを見ている時、俺はある事を思い出した。

「そうだ。やよい、お前も薬飲んでおけ」

「なんでですか?私、風邪引いてないですよ」

「いや、これだけ一緒に居るんだし、うつる前にな。それに、風邪薬ってなる
 前に飲んだ方が効果あるんだ」

「へ~、そうなんですか。でも、そのお薬にがくないですか?」

はあ、子供じゃないんだから……って、子供か。

「良薬口に苦し、ガマンしろ。……もう10時半か、やよい、そこの押入れに
 布団と毛布入ってるから使っていいぞ」

「はーい。あ、でもどこで寝たらいいですか?」

そっか、俺の家はワンルームだから、他の部屋なんて無いんだった。

「ん、じゃあそこのコタツずらして寝てくれ」

「はい。プロデューサー、ちょっと顔色がよくなってきましたね」

「だとしたら、お前のおかげだ。ありがとうな、やよい」

俺はやよいの頭を撫でてやった。やよいは嬉しそうに目をつぶって撫でられていた。
うーん、本当にやよいって小動物っぽいな。たとえるなら、ちっちゃい柴犬とか
プレーリードックとかハムスター。

「えへへ~♪」

う~ん、その流れでいくと俺はやよいの飼い主って所か。……む、こんな事、
もし律子の前で言ったりしたら。

『プロデューサー……今すぐ警察呼ばれたいですか~!』

なんて、言われるな。絶対に言わないでおこう……

「あれ?どうかしました、プロデューサー?」

「い、いや何でもないぞ。それじゃあ、ちゃんと温かくしろよ、お前まで
 風邪引いたら俺が怒られちまうから」

「はい。でも、私が風邪引いたら、プロデューサーが看病してくれますか?」

こいつは……まあ、しょうがないか。

「ああ、いいぞ。でも、風邪引かないのが一番だけどな。元気なやよいの方が
 俺は好きだからな」

「は、はい!私、ぜったい風邪引きませーん!!」

ん、これでよし。まあ、元気な方がやよいらしいし、ウソは言ってないよな。
そんな事していると、やよいが布団を敷いて寝る準備をしていた。

「ふーん、やっぱり、寝る時は髪解くんだな」

普段はトレードマークでもあるツインテール(こう呼ぶのは最近知った)の
やよいだが、髪を下ろしているとちょっとだけ大人っぽく見えなくも無い。

「それはそうですよ。そのまま寝ちゃったら、大変なんですよ~」

「……それは、そのまま寝た事があるって事だな」

「はわっ!そ、そうです~。次の日、髪の毛がすごい事に~」

まあ、やっぱり中身はやよいな訳で。でも確かに、やよいの髪の毛って
ちょっとくせっ毛ぽいし、それは、すごい事になったんだろうな。

「それはそうと、そんな近くで寝ると本当に移っちまうぞ」

「平気ですよ。それに、何かあったらすぐにプロデューサーの所へ
行けますから♪」

そうは言っても、俺がベットから落ちたら潰される位置だぞ。まあ、そんなに
寝相が悪いわけじゃないからいいが。

「ま、まあ、お前がいいなら。それじゃあ、おやすみ」

「おやすみなさーい!」

やよいに電気を消してもらい、俺も寝る事にした。
……だが、何か落ち着かないな。ここに誰かが泊まるなんて初めてだし、
それがやよいだしな。まあ、別に俺はチビッコには興味無しなんで平気だけど、
やっぱり何だかな。

「……プロデューサー」

ん、やよいも眠れないのか。当たり前か、一応、男の家に泊まってるわけだし。

「どうした?」

「プロデューサーって、いつもこんなに静かな所で寝てるんですよね?」

「そりゃあな。でも、それがどうしたんだよ」

「はい、プロデューサーは一人で本当に平気なのかな~って思って」

ふと横を向くと、やよいもこっちを見ていた。表情は細かく分からないが、
ほんの少し悲しそうな感じを受けた。

「別に平気だ、ヒマだって思う事はあるけどな。何でそんな事を聞くんだ」

「はい……プロデューサーは、いつも私たちみんなの事心配してくれたり
しますよね。でも、プロデューサーも寂しいとか思う事あるのかなって……」

うっ、そんな風に真っ直ぐ俺を見て言うなよ。どうも、やよいの前ではウソや
隠し事が出来ないんだよな俺……。

「やよいは気にしなくってもいいぞ。大丈夫だ、俺はそんなに弱くないからな
 ……こんな状態じゃ説得力ないかもしれないけどな」

「……でもでも、もし、すっごく辛かったりしたら言ってください。
 そ、その、頼りないかもしれないですけど、私だってプロデューサーの事
 助けたいんですから」

暗闇の中、見えてるかどうかも分からないのにやよいは俺を見てそう言った。
俺はやよいとは反対の方に寝返りをうった。

「早く寝ろよ。まあ、その時は頼む……おやすみ、やよい」

「はい……、おやすみなさい、プロデューサー♪」

ちゃんと見て無いけど、やよいは笑っていたと俺は思った。しばらくすると、
眠かったのかすぐにやよいの寝息が聞こえてきた。

「……俺は、お前にもう助けられてるって。ありがとう、やよい」

俺は寝ているやよいにそれだけ言うと、眠る事にした……


次の日。

『ミルクはカルシウムが♪野菜はビタミン豊富~♪』

……ん、携帯のアラームが聞こえる。もう朝らしい。上半身だけ起こし体を
伸ばすと、昨日とはまったく違い気分が良い。

「ん~、よく寝たな。……あれ?やよいはどこ行った」

昨日の夜、ベットのすぐ横で布団を敷いて寝ていたやよいはそこには居なかった。
そう思っていると、キッチンから何か音が聞こえてきた。

「……うん、お豆腐は最後に入れればいいんだね。ありがとう、お母さん♪」

何やら電話をしながら何かしているみたいだ。俺は様子を見に行く為に
キッチンへと向かった。

「……おっ、もう全然体がだるくない。それどころか調子良いみたいだな」

元気になった自分に驚きながら、やよいの所まで俺はいつも通りに歩いて
いった。

「あっ、プロデューサー!おはようございまーす!もう起きても平気
 なんですか?」

「ああ、おかげさまで。で、何やってるんだ?」

まあ、鍋に火をかけて、まな板に豆腐が乗っかっていれば大体分かるけどな。

「はい!プロデューサーに朝ごはん作ってあげようと思って、お母さんに聞き
 ながらお料理してました!」

「そうか。おっと、鍋から目を離すなよ」

「はーい!お豆腐入れて~……完成です~!」

危なっかしい手付きで豆腐を鍋に入れて、やよい母直伝の味噌汁が出来た
みたいだな。なんか、病気中はおかゆみたいのしか食べてなかったせいか、
かなり腹が減ってきた。

「ちょっと味見してもいいか」

「あっ、だめですよ。向こうへ持って行きますから、もうちょっと待ってて
 ください」

うむ、やよいに背中を押されキッチンから出されてしまった。まあ、意外と
平気そうだし、心配ないか。俺は着替えを済ませ、おとなしくコタツで待って
いる事にしたのだが……

「はわっ!」

「だ、大丈夫か?」

「はい~……わわっ!」

やよいが何かあるたびに声を上げるので、気になって仕方が無かった。
本当に大丈夫か……

5分後。

「おまたせしました~!プロデューサー、食べてください!」

「無事だったか……」

「はい?何か言いましたか?」

「何でもない。お~、見た目はよく出来てるな」

「あ、味も大丈夫ですよ!さあ、食べてみてくださいプロデューサー♪」

やよいが作ってくれた朝食は、ご飯に味噌汁、玉子焼きだ。これで海苔と
納豆があったら「おはよう!!朝ごはんセット」とか言っただろうな俺。

「いただきます。……ん、この味噌汁うまいぞ」

「本当ですか!よかった~、お母さんの作ったの程おいしく出来てないから」

「そんな事は無いって。それにこれから上手くなっていけばいいって。
 ほら、お前も食べろって」

「わかりました、いただきまーす!」

うーん、本当に朝から元気なんだなやよいって。朝から事務所に来る時も
元気だもんな。ちょっとは見習った方がいいかな。

「むぐ?どうかしましたか、プロデューサー?」

「ああ、やよいの元気な所を見習おうって思ってな」

「えへへ~、なんか照れますよプロデューサー」

本当、こいつには助けられてるな俺。そうだ、忘れる前に……

「やよい、約束覚えてるよな」

「えっ?……あー!覚えてますよ~!カニですよね~!」

「ああ、今日は仕事も無いだろ、連れてってやるよ」

「で、でも、平気なんですかプロデューサー。まだ治ったばかりですし、
 それに~」

「はいはい、気にしない!それに、それだけ俺が感謝してるって事なんだから。
 なっ、やよい」

俺はやよいを撫でながらそう言った。そういや、律子に「それ、もうクセ
なんですか?」って言われた事がある位、俺はやよいの頭を撫でているらしい。
まあ、なんか撫でやすいんだよなこいつ。それに、やよいも嫌がらないしな。

「えへへ……そうだ!プロデューサー、風邪も治った事ですし……」

やよいがそう言って手を上げる。もちろん俺も同じ様にしてやる。

「ほれ、やよい!」

「ハイ、ターッチ!いぇい!」

パチンといい音が部屋に響いた。もう、こいつに心配かけない様にしないとな。
俺は心からそう思った。こいつの笑顔、ずっと見ていたいからな。俺はそう思い
外を見る。今日の天気は、目の前のやよいの笑顔の様に快晴だった。

「うっう~、プロデューサー!元気になって、本当によかったですー!」

おわり。
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【 2007/07/02 (Mon) 】 アイマスのSSですよ♪ | TB(0) | CM(0)
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