春屋

こちらはゲーム「THE IDOLM@STER」「東方project」を応援しているサイトです。管理人のプレイ日記や、SSが置いてあります。
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悲しくて切なくて、それでも愛しい繋がり。

このSSは東方プロジェクトの二次創作です。
多少、設定と違うかもしれませんのでご注意を。

今回は特に二次創作成分が多いのでもう一度。

このSSは東方プロジェクトの二次創作です。
多少、設定と違うかもしれませんのでかなりご注意を。

そーなのかー。




『序章』 妖怪の山 射命丸宅前。

ヒュォォォ!

「・・・ふう、この辺は相変わらず風が強いですね」

「ねえ、椛。どうせ無駄だと思うよ・・・」

射命丸の家の前に立っているのは、白狼天狗の犬走椛と
鴉天狗の姫海棠はたて。

「いえ、今日こそは無理にでも外に出てもらいます」

「そうは言っても・・・あいつ、あの『人間たち』がいなくなってから
殆ど外に出なくなっちゃったじゃん」

「私は……あんな風になった文さんをいつまでも見ていられません。
はたてさんだって、そうだからついてきたんですよね」

「わ、私はその・・・ライバルがいないと新聞作りも面白くないから・・・」

「それでも、一緒に来てくれた事、感謝します」

椛はそう言った後、射命丸の家の戸を叩いた。

ドンドンドン!

「文さん!椛です!開けてくれませんかー!」

呼びかけてみるが反応は無し。

「やっぱし出てこないよ。やっぱ諦め・・・」

「文さん、後で直しますから・・・セェイッ!!」

ガターーン!!と大きな音を立てて、入り口の戸が椛によって蹴破られた。

「も、椛って、結構大胆だね・・・」

「勝手にですが、お邪魔します」

「わわっ!待ってよー!」

椛とはたてが家の中に入ると、入り口から差し込む日の光でホコリがキラキラと
輝きながら舞っていた。

「げほげほっ!なにこれぇ~!掃除くらいしなさいよー!」

「ごほっ……」

ホコリで咳き込みながらも、椛は机の上に長い間使われずに放置された
カメラを見つめていた。

「・・・文さん」

ガタッ。

「わっ、戸が吹っ飛ばされてます。これはさすがにビックリです」

奥の部屋からシャツ一枚で出てきたのは、この家の主である射命丸文であった。
ただ、今の彼女からは昔の様な明るい雰囲気は影を潜めていた。

「おー、生きてた。あんたね~、いつまでそうやってるニートしてるのよ!」

「うう・・・久しぶりに会ったのにいきなりそれですか」

「久しぶりに会ったって・・・あんたが引きこもってるから会えないん
でしょうがーーー!!」

今にも殴りかかりそうなはたてを制して、椛が一歩前へ出た。

「文さん、お久しぶりです。早速で申し訳ありませんが、私達と一緒に
外に出てもらいます」

椛がそう言うと、射命丸は下を向いたまま黙ってしまった。

「あ、あのさぁ、文。あんたがそうしてたってあの人間達は戻って
来ないんだよ?」

はたてのその一言にビクッと体を震わせる射命丸。

「わ・・・わかってはいるんですよ。でも、今の外の世界に興味が
持てないんですよ」

射命丸はペタンと座り込んで膝を抱えてしまった。

「馬鹿らしいですよね。千年以上も生きてる私が、知り合いの人間が
死んじゃったからって引きこもってしまうなんて・・・」

「ま、まあ、しょうがないよ。文はあの子らと本当に仲良かったんだし。
私だって知り合いがそんな風になれば悲しいし・・・えっと、その」

はたては何とかフォローしようとするが、どう言葉を掛けていいのか分からず
困っていた。椛はそんな中、ただ黙って二人の話を聞いていた。

「こんな事なら・・・みんなと・・・霊夢さん達と親しくならなきゃ
よかった」

「ちょっと!あんた、いい加減に・・・」

はたてが我慢の限界とばかりに射命丸に詰め寄ろうとした時だった・・・

「ふざけるなっ!!しゃめいまるあやぁぁ!!!」

「ひうっ!?」

「わわっ!?」

建物が震えるほどの声で椛が怒鳴っていた。あまりに驚いてしまったためか、
はたては尻餅をついてしまっていた。もちろん、射命丸もかなり驚いていた。
なぜなら、椛とは長い付き合いではあるが、ここまで怒った椛を見た事が
なかったからだ。

「も、椛さん?」

「びっくりした~・・・」

「……はたてさん、行きましょう。もうココには用はありません」

椛はそれだけ言い、出口の方へと歩いていった。椛の迫力に押されたのか、
はたては言うとおりに椛の後を追った。だが、その途中……

「文さん・・・コレはもうあなたには必要ない物ですよね」

「え?」

椛は机の上に置かれたカメラを指差しそう訊ねた。

「必要ない物なら、いつまでもここに置いておくのも目障りでしょう」

椛は刀を抜き、それをカメラの方へと向けた。

「も、椛さん・・・それはっ・・・」

「霊夢さん達と出会わなければよかったと思っているあなたに、コレはもう
必要ないでしょう。だったら私が無かった事にしてあげます」

椛はそう言って刀を振り上げた・・・だが。

「だ・・・だめぇ!!!」

気が付くと、射命丸はホコリだらけのカメラを抱きかかえていた。

「だめっ!だめですっ!!だって・・・だってコレには・・・皆さんとの
思い出が・・・!」

「……よかったです、文さん。文さんにその気持ちが残っていてくれて」

「え?」

「ごめんなさい、あなたを試す様な事をしてしまって。本当にごめんなさい」

刀を納め、頭を下げて椛は謝罪をした。

「あ、謝らないでください。私がバカな事言ったのが悪いんですから」

「文さん、外を見に行きましょう。そして新聞を書くんです。きっと、
それを霊夢さん達も望んでいるはずです」

「わ、私もさ、ライバルがいないと張り合いが無いのよ!わかった!」

「椛さん・・・はたてさん。あ、ありがとうございます・・・うう~」

「ちょっと!泣かないでよ!」

「さてと・・・はたてさん、文さんを着替えさせてください」

「はいはい。ほら、さっさと立って!」

「は、はい~」


それから暫くして。ようやく着替え終わった射命丸が奥から出てきた。

「おまたせ~」

「お待たせしました・・・って、部屋が綺麗になってる!?」

「ああ、暇だったので掃除しておきましたよ。これからはちゃんと自分で
やってくださいね」

先ほどまでホコリだらけの部屋が椛によって見事なまでに掃除されていた。
入ってきた時に蹴破られた戸も元に戻っていた。

「・・・なんか、椛さんって昔と変わりました?」

「私だって色々と頑張っているんですよ。さて、行きますか」

「やれやれ。や~っと出発だね」

三人はそう言い空へ飛び立とうとしたのだが・・・

ベシャッ!

「あ、文さん?」

「何やってるの、あんた?」

射命丸だけが地面へ逆戻りしていた。

「す、すいません・・・長い間引きこもっていたから、うまく飛べなくって。
情けないですね、幻想郷最速といわれた私なのに・・・」

「本当に世話が焼けるな~!椛、背負ってあげれば?」

「そうですね。その方が早そうですし」

椛は射命丸をおんぶして飛ぶ事にした。

「うう・・・本当にすいません」

「いいですよ別に。文さんには昔から、色々と迷惑を押し付けられましたからね」

「・・・椛さんがちょっと会っていない間にドSになってます~!」

「あはは・・・。そうそう文、あんたが最速だったのはすでに過去の話だよ」

「え?それってどういう事ですか?それじゃあ、今の最速は・・・」

「文さん、しゃべってると舌噛みますよ」

「はい?・・・って!うわぁ!!」

射命丸を背負っている状態にも関わらず、椛は全盛期の射命丸並のスピードで
飛んでいた。はたてはその後ろに付いていくので精一杯だった。

「も、椛さん!?あなたいつの間にそんなに早くなったんですかー!?」

「言ったでしょう。私だって頑張っているんです。だから、早く私に追いつける
様になってくださいね」

「い、言いましたね!もちろんですよ!椛さんなんか私がすぐに抜かしちゃうん
ですからね!」

「・・・はい。楽しみにしてますよ」

久々に笑顔を見せる射命丸を乗せたまま、椛は綺麗に晴れた青空を駆けていった。


「こらー!私を置いていくなーーー!!!」


『一章』 守矢神社。

「ん~?何かがものすごい速さで飛んで行ったね。なんだありゃ?」

鳥居に腰掛けながらこの神社の二柱が一人、洩矢諏訪子が不思議そうに空を
眺めていた。

「ふぁ~あ・・・それにしても退屈だね~。ここ最近は異変も起きてないし。
……何か起してみようかな?そうすれば『あの子』の修行にもなるだろうし」

「こら。物騒な事を企てるな」

「あ、神奈子」

諏訪子の隣に立っていたのは守谷神社のもう一人の神、八坂神奈子。

「まったく。早苗が生きていた頃にいつも怒られただろうが」

「だって~!退屈すぎるよ~!それに、何か事件を起こせば『新しい巫女』が
出てくるかもしれないよ?」

「それはそうかもしれないが・・・今はその時じゃない」

「はーい・・・でも暇だな~。こいしかフランにでも相手してもらおうかな♪」

「……この前、それで神社のあちこちを破壊し尽くしたのは誰だったかな?」

神奈子は両手の拳を諏訪子のこめかみにおもいっきり押し付けた。

「あうあうあう~!ご、ごめんなさい~~~!!」

その時、空から落ちてくる人影が見えた。

「あれは・・・穣子か?」

「落ちてきてる・・・っていうか、落ちるね」

ドッカーーーン!!

「お、おーい。大丈夫かー?」

空から落ちてきた豊穣の神、秋穣子は境内に落下したまま動けなくなっていた。

「穣子ちゃ~ん!大丈夫~!?」

穣子を追って空からやってきたのは姉の静葉だった。

「あらら。もしかしなくてもやったのは『あの子』かい?」

諏訪子が空を見上げると、幼い少女がこちらへ下りてきていた。

「やったー♪みーちゃんに勝ったー!」

「やっぱりか。こらこら、『早茄』。穣子はそんなに強くないんだから手加減して
あげなきゃだめだろ」

「つ・・・強くないとか・・・言うな」

フラフラしながらも穣子は何とか立ち上がった。

「かなちゃん、すわちゃん。勝ったよ~♪」

「おー、さすが早茄だね。もう穣子達じゃ相手にならないかな?」

「そうすると、次の相手は雛ちゃんかしら。ちょっと可哀想かも・・・」

穣子に肩を貸しながら静葉が雛を哀れんでいた。

「それにしても、本当にこの子早苗に似てるね」

「おいおい、穣子。早苗の小さい頃はここまでやんちゃじゃなかったぞ」

神奈子は早茄と呼ばれた少女を膝の上に乗せて髪を梳かしていた。

「でもびっくりしたわ。早苗さんが亡くなってから一年後、この子が神社に
いた時は」

静葉は早茄の頭を撫でながらそう言った。

早苗が天寿を全うして一年ほど経ったある日。人里へ下りていた神奈子と
諏訪子は一人の赤ん坊を見つけた。聞くとその子の両親は既に病死しており、
身寄りの無い子供だと言う。普通の子供ならそこまで気に留めるほどでも
なかったのだが、二人は何故かその赤ん坊に妙な縁を感じてしまい
『神社で育てる』と里の人々の前で言ってしまった。
そして、十年経った今に至るのである。

「神様がこんな事言ったらあれだけどさ・・・生まれ変わりってあるのかもね」

「諏訪子、この子はこの子さ。早苗の代わりなんて存在しないさ」

「わかってるって。早茄は早茄でかわいいからね~♪」

「ねーねー、かなちゃんすわちゃん。早苗って子はどんな人だったの?」

「……そうだね。早茄にもちゃんと話してあげた方がいいね」

「そうだね~、何から話してあげたらいいかな~♪」

「・・・常識に囚われない子だった」

「穣子ちゃん、それはちょっと・・・」


妖怪の山の上にある神社、守矢神社。
そこは今でも神様と人が暮らす、そんな不思議な神社である。


『二章』 人里。

「うわー!妖怪だー!!」

「女子供と年寄りは早く逃がすんだ!早く!!」

人里の入り口付近。そこでは荒くれ妖怪が人間達を襲うために近づいていた。

「きゃあっ!」

そんな中、一人の少女が逃げ遅れて倒れてしまっていた。

「ヒャハハ~!美味そうなニンゲン一人目だ~!」

妖怪は大きな腕を振り上げる。

「だ・・・誰か・・・助けて!」

妖怪の腕が少女に振り下ろされる瞬間だった。

ザシュッ!!

「グオオオーー!!」

「……え?何?」

少女が恐る恐る目を開けると、目の前の大きな妖怪の腕が片方無くなっていた。
そして、少女の目の前には透き通った氷の羽を持つ、水色の服を来た少女が
氷の剣を持って立っていた。

「平気だった?もうだいじょうぶだよ!なんたって、さいきょーのアタイが
来たからねっ!」

氷の剣を持った少女・・・氷の妖精チルノは自分の倍以上ある妖怪を前に
笑顔で少女に告げた。

「こら~!自分だけ先に行くなよ~!」

「そうだよ。敵は一匹じゃないんだからね」

続けて空からやってきたのは蟲達を従える妖怪のリグル。夜雀のミスティア。

「キミ、怪我は無い?」

「大丈夫なら早く向こうへ行っててね」

「う、うん。ありがとう!」

少女を見送ると、三人は目の前の妖怪の方へ向き直った。

「お、お前ら?!妖怪のクセにニンゲンを助けるのか~~!!」

「えっ?いや、私はみすちーとチルノに付き合ってるだけなんだけどね。
あはは・・・」

「私はもちろん、屋台のお客さんや仕入れ先を守る為だよ!むやみやたらに
人間を襲うなんてサイテ~!」

「ウルサイ!!ニンゲンを襲うのが妖怪の役目だ!!そこの妖精はニンゲンを守る
必要があるのか!?」

「……あるよ。それが、あの『白黒』との約束だから!」

そう言い、チルノは剣の切っ先を妖怪へ向ける。

「弱い人間を守れるくらいでなきゃ、本当のさいきょーになれないからね!!」

「ぐおおおおお!!!」

チルノの言葉に激怒した妖怪達がこちらへ突撃しようとした。・・・だが。

「な、なんだ!?足がウゴカナイ!?」

「へへん。あんた達・・・バカだね!話に夢中で足を凍らされてる事にも
気が付かないなんてね!」

チルノの言うとおり、妖怪の足はチルノの立っている場所から伸びた氷によって
凍っていた。他に居た妖怪達も同じ様な状態だった。

「アタイもむえきなせんちょーはしたくないからね、さっさと帰りな!」

「チルノー、せんちょーじゃなくて殺生ねー」

「船長だとお寺のムラサさんになっちゃうよ?」

「……むえきなせっしょうはしたくないから、帰りな!!」

「あ、言い直した」

「グググ・・・妖精風情ガーー!!!」

ビキビキッ!と音を立てて妖怪達の足元の氷がひび割れていく。

「これは話し合いじゃ駄目っぽいね」

「しかたないな~。ちょっと痛い目を見てもらうしかないか」

「みすちー、リグル!いっくよー!」

チルノの合図と共にリグルとミスティアは左右へ、チルノは正面から突っ込んで
いった。

「まずは私から!『鳥符 ミステリアスソング』!鳥目になっちゃえ~♪」

ミスティアの歌声が辺りに響き、妖怪達の視界を奪っていく。チルノとリグルは
歌が始まるギリギリで耳栓を装備していたので助かっている。

「みんな!ちょっと手伝って!『蠢符 リトルバグストーム』!」

リグルの号令で凄まじい数の蟲が妖怪達へと襲い掛かった。

「うわっ!いつ見てもグロい!!」

「うるさーい!チルノ、最後は頼んだよ!」

「リグルも蟲たちをちゃんと逃がさないとまきぞえだよ!・・・ねえ、
いちおーもう一回聞くけどさ。おとなしく帰る気にはならない?」

「ダ、ダレガ!キサマらの言う事など聞くか!!」

「じゃあしょうがないね・・・凍死してもしらないよ!!」

チルノはその小さな両手に集めた冷気を地面へと叩き付けた。

「くらえー!『霜符 フロストコラムス』!!」

チルノの凄まじい冷気で凍った地面から放たれた無数の氷の刃が
妖怪達に襲い掛かった。その攻撃を受けた妖怪達は次々と動けなくなり
倒れていった。

「やったー!やっぱしアタイはさいきょーね!」

ビシッ!と、決めポーズを決めるチルノだった。しかし・・・

「チルノ!後ろ!」

「わー!後ろ見てー!!」

「ん?なに?」

チルノが後ろを振り向くと、まだ動けた一匹がチルノに襲い掛かろうとしていた。

「や、やばっ・・・!」

「グガアアア!!」

『チルノ!!』

・・・ドガーーァンッ!!!

「……あ、あり?」

恐る恐るチルノが目を開けると目の前に人影が二人。

「遅くなってごめんなさいね、チルノちゃん」

「はあ~。買い物に来ただけなのに大変な事になっちゃったよ」

チルノに襲い掛かろうとしていた妖怪は、現れた聖と美鈴の拳を受けて
かなり遠くの方まで吹き飛ばされていた。

「怪我してない?大丈夫なのチルノちゃん?」

「う、うん。平気だよ」

「やれやれ、間に合ってよかったよ。でも、よく頑張ったね。偉いよ」

そう言い、美鈴はチルノの頭を撫でていた。

「リグルちゃんもミスティアちゃんも、本当にごめんなさい。反対側からも
妖怪達が来ていて、そっちに時間を取られていたのよ・・・」

「そこにたまたま私が居合わせたもんだから、そのまま参戦させられたの。
あ~あ、メイド服がボロボロ。帰ったらお嬢様に怒られるかも~~!」

「そっか。今はめーりんがメイドさんなんだっけ」

美鈴はメイド服のホコリを払うと「うん」と頷いた。

「咲夜さんは・・・もういないからね。一応、咲夜さんが来る前は私も
メイドだったんだから頑張らないと」

「そっか。……アタイももっと頑張らないとダメだ」

「そお?チルノちゃんも頑張ってると思うわよ」

「ううん、もっと強くなる。でなきゃ・・・白黒との約束、守れないもん」

「・・・ねえ、チルノ。一人で何でもやろうとしたら逆に何もできなく
なっちゃうよ。チルノには助けてくれるみんながいるって事、忘れないでね」

美鈴はそう言ってチルノの頭に手を置いた。

「うん、わかったよ。リグル、みすちーもいつもありがとうね」

「だ、だから私は二人に付き合ってるだけだってば・・・」

「テレる事ないじゃん。私は屋台に来てくれるみんなの為に頑張っただけだよ♪」

チルノ達がそんな話をしていると、先ほど助けた少女が戻ってきた。

「あ、あの・・・さっきは本当にありがとう!カッコよかったよチルノちゃん!」

「そ・・・そんなの当たり前じゃない!アタイはさいきょーなんだからね!」

そんなチルノと少女達のやり取りを見て、聖は穏やかに笑っていた。

「まだまだ悪い事をする妖怪もいるけれど、あの子達みたいにみんな仲良く
暮らしていけるといいわね」

「そうですね。咲夜さんと私達だってやっていけたんですから、きっと
大丈夫ですよ」

美鈴もそう言って聖の方へ笑顔を返した。そして、空を見上げた。

「・・・咲夜さん、魔理沙。私達、みんな頑張ってますよ。だから心配
しないでくださいね」


『三章』 迷いの竹林 永遠亭。

「お邪魔するよ~っと」

「わっ!な、なんであなたがここに!?」

突然、永遠亭ににやってきた藤原妹紅に鈴仙は驚きの声を上げていた。

「ちょっと、お客さんに対してそれは失礼じゃない」

「そ、それはすいません・・・じゃなくって!何しに来たんですか!」

「何って、輝夜を誘いに来たの。もちろん殺し合いの」

一見物騒な誘いだが、何百年と繰り返している事なので妹紅も輝夜も
永遠亭の者も慣れっこだった。

「う・・・姫様は・・・その~」

「あら?いらっしゃい、妹紅。輝夜に用事かしら」

奥から現れたのは輝夜の教育係でもある永琳だった。

「そうよ。あいつ最近は呼んでも来ないし、戦い始めても途中でやめちゃうし」

「そうねぇ・・・でも、あなたが直接行けば何とかなるかも」

「うん?何かよく分からないけれど上がらせてもらうよ」

妹紅は鈴仙と永琳を残し、輝夜の部屋へと向かった。

「いいんですか、お師匠様?」

「まあ、家族の言葉よりも、友人の一言の方があの子の薬になるでしょう」

「・・・殺し合いをする様な人を友人って言うんですか~?」


数分後、妹紅は輝夜の部屋の前に立っていた。

「さ~てと・・・」

妹紅は襖に手を掛け、一気にそれを開けた。

スパーン!

「輝夜~!私と殺し合いしようぜ~!」

「わわっ!も、もも、妹紅!!何でいきなり入ってきてるのよー!!」

「うわぁ、姫様のクセに昼間から何ゴロゴロしてるんだよ」

妹紅の言うとおり、輝夜は畳に寝転がりボーっとしていた様だった。

「な、何しに来たのよ・・・」

「さっきも言ったでしょう、殺し合い」

「・・・い、行かない」

そう言って輝夜はそっぽを向いてしまった。

「ねえ、輝夜。お前が私と殺し合いしなくなった理由って・・・やっぱり
あいつ等が死んじゃったからなのか?」

「……別に」

拗ねた様に答える輝夜。それを聞いて妹紅は『はあ~』とため息を付いていた。

「あのさぁ、死なない私たちがそんなのを気にしていたら身が持たないよ。
それに、こういうのはもう慣れてるはずでしょ」

「それは・・・そうだけれど、ちょっと違うの」

ようやく起き上がった輝夜は俯きながら妹紅へと語り始めた。

「あの子達はさ……長い事生きてる私にとって、久々の普通の人間での
友達だったのかも」

「うん・・・」

妹紅は輝夜の隣に座り話を聞いている。

「あの子達がいなくなちゃった後、私、思った事があるの。私は・・・なんて
命を粗末に扱っているんだろうって」

「なにそれ?」

「死なないからってあなたと殺し合いばかりしている事よ。普通は一個しかない
命なのに・・・無限にあるからってそんな事ばかりしてて良いのかなって・・・」

「それが私と殺し合いしない理由なの?」

「うん……妹紅ももうやめましょう。って言っても、あなたは父親の事でまだ
私を恨んでいるだろうから簡単にはいかないか・・・」

そう言って輝夜はまた寝転んでしまった。

「もう・・・どうしたらいいのかな。全然わからないわ・・・」

そんな輝夜を見ていた妹紅は、またため息を吐くと輝夜の手を握った。

「えっ?も、妹紅?な、なによ・・・そんな、いきなり・・・」

「そおい!」

妹紅はそのまま輝夜を庭の方へと放り投げ……

バッシャーーーン!!!

池へとホールインワンさせた。

「ぶっはー!!いきなり何するのよーー!!」

妹紅は放り投げた輝夜の所まで行き、しゃがみ込んだ。

「あんたはさ・・・そんな理由で何もしないであの部屋に閉じこもる気なの。
そんなの死んでるのと変わらないじゃない」

「妹紅……」

「私達はあの薬のせいで『死なない』。だったら、責任持ってちゃんと
『生きなさい』。それが私らの責任よ」

妹紅はまだ池の中の輝夜に手を差し伸べた。

「ほら、どうする。生きる?それともそのまま鯉の餌?」

「・・・あ、あなた生意気なのよ!私より年下のクセに~!」

「悪かったね。あんたみたいに温室育ちじゃないからさ」

口喧嘩の様なやり取りをしながらも、輝夜も妹紅もその表情は笑っていた。
そして、少し離れた場所で永琳がそんな二人を眺めていた。

「やれやれ、大人の出る幕は無かったわね・・・ふふっ」

永琳は笑みを浮かべながら黙ってその場を後にするのだった。


『終章』 博麗神社。

「椛さんはやっぱりドSですよ・・・いきなりここに連れてくるなんて~!」

と、射命丸が椛を恨めしそうに睨んでいた。

「ここに連れてこなきゃ、いつまでも変わりませんよ」

「う~・・・それにしても、意外にも神社が綺麗ですね」

射命丸は、主が居ないはずの神社が綺麗に掃除されていた事を不思議そうに
していた。

「おや~?お客さんかと思ったらあんた達かい」

そう言い、屋根の上から降りてきたのは鬼の萃香だった。

「お~、久しぶりだね射命丸。霊夢の葬式の後から姿見てなかったから、
どうしたのかと思ったよ」

「その・・・すいません、ご心配おかけしました」

「萃香さんは霊夢さんが居なくなった後もこの神社に残ってるんですよ」

「まーね。紫の奴がさ、『新しい巫女を現れるまでこの場所をお願いね』なんて
言ってきたからさ。まあ、私も行く所ないし、霊夢には世話になったからね。
そのくらいはしてもバチは当たらないさ。にゃはははー♪」

そう言って萃香は瓢箪の酒を飲んだ。

「そういえばさ、なんであんたは巫女みたいな服を着てるの?」

はたては萃香の着ている服を指差して尋ねた。

「それはその方が雰囲気が出るからだよ♪結構似合ってるだろ?」

「鬼が巫女やってる神社って何なのよ・・・」

はたてが萃香に呆れていると、意外な人物が箒を持って現れた。

「すいか~。ちゃんとお掃除手伝って欲しいよ~」

「え?ル、ルーミアさん?」

「あっ、しゃめいまるだ。久しぶりだねー♪」

箒を持ったままのルーミアがフヨフヨと射命丸の傍まで飛んできた。

「今の博麗神社はお二人が掃除したりしてるんですよ」

「そ、そうなんですか。それにルーミアさんのあのリボンって・・・」

射命丸はルーミアの頭の上で揺れている大きなリボンを指差した。

「あれは霊夢さんのお下がりですよ。とっても気に入ってるみたいです」

「そう・・・ですか」

椛と射命丸は、目の前でニコニコ笑っているルーミアを少し悲しげに
見ていた。その理由は霊夢が亡くなった日まで遡る……。


霊夢が亡くなった日。その日は紅魔館や命蓮寺、遠くは地霊殿の者も
集まっていた。皆、『人間はすぐに死んでしまう』という事を
分かっていた為か、あえて誰も涙を流す事は無かった。
たが・・・

         『うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!』

萃香と共に神社で過ごしていたルーミア一人が、母親と別れた子供の様に
泣いていた。ルーミアがそんな風に泣いているのを誰も見た事が無かった為、
他の者は立ち尽くしているだけだった。そんな中、一人だけ泣いているルーミアに
歩み寄る者がいた。

『泣かないの。貴方がそんな風に泣いていたら、あの子も悲しむわよ』

そう言い、紫は泣き止むまでずっとルーミアを抱きしめていた。

そして……萃香はそんな紫も泣いていた事を、ただ黙って見つめていた。


それからしばらくして。萃香の元へ紫が現れてこう告げた。

『悪いけれど、しばらくの間会えなくなるわ。次の巫女はその内出てくると
 思うけど、それまでは私が一人で結界を支えなきゃいけないの。
 だから萃香・・・それまでこの神社をよろしくね』

萃香は紫がどれだけ大変な事をしようとしているのか分かってはいた。
ヘタをすれば二度と会えないかもしれない。大切な友人である紫の為に、普段と
変わらぬ様に『まかせろ~!』と答えた。それを見届けた後、紫は姿を消した。

「いつもながら勝手な奴だよね。まあ、大変なのは後の事、全部任された藍かも
しれないけどね」

「ん~?どうかしたの?」

「いえ、何でもありません。そのリボン、とっても似合ってますよ」

「わー♪ありがとう、しゃめいまる♪」

ルーミアは嬉しそうにその場でクルリと一回転してみせた。
そんなルーミアを見て、射命丸は意を決して聞いてみた。

「ルーミアさん。霊夢さんがいなくなって・・・悲しくないですか?」

「うーんと・・・やっぱりかなしいと思う。でも、泣いてばっかりいたら
霊夢に笑われちゃうからもう泣かないよ♪」

ルーミアはニッコリと笑顔で答えた。

「……あはは。ルーミアさんの方が大人で私の方が子供みたいですね」

「まあ、そんな感じでさ。今の博麗神社は酒飲み鬼と、人を食べない
人喰い妖怪がいるヘンテコ神社なんだよ」

「え?人を食べないって?」

「うん。霊夢がいなくなってから人間襲ってないよ。えらい?」

射命丸はルーミアの言葉に驚いていた。確かに人を襲わない妖怪も中には
いるが、ルーミアの場合は人を襲う事が食事だったので尚更である。

「な、なんで人を襲わなくなったんですか」

「だって、私が食べちゃう人間にも家族はいるよね。そうしたらその家族は
すごくかなしいよね、だから」

「ルーミアさんは本当にすごいですよ。人を襲う妖怪にとっては当然の行為を
スッパリとやめてしまえたんですから」

そう言って、椛はルーミアの頭を撫でてあげた。

「えへへ♪霊夢がいたらこんな風に褒めてくれたかな??」

「ええ。きっと褒めてくれますよ」

「なあ、射命丸。お前さんが引きこもっていたのって、霊夢が死んだから
なのかい?」

「うっ……はい」

そんな射命丸に萃香はこう続けた。

「あんな子だってがんばってるんだ。あんたにはあんたのやるべき事がちゃんと
あるだろう」

「……はい」

首から提げたカメラを見つめ、射命丸はしっかりと返事をした。

「それじゃあ、早速やろうよ。と、特別に今回は私も手伝ってあげるからさ」

「ありがとうございます、はたてさん。それでは・・・ルーミアさん、萃香さん。
写真を撮らせてもらっていいですか」

「お~!ちゃんと撮ってくれよ~!」

「わーい♪とってとって~♪」

「せっかくですから椛さんとはたてさんも入ってください」

「わ、私もですか?」

「普通、記者は写らないでしょうが~」

「その・・・私が撮りたいんです。新聞記者、射命丸文の復帰最初の一枚
ですから♪」

そう言われて、椛もはたても断りきれずに萃香とルーミアの横に並んだ。

「では、いきますよー!はい・・・チーズ!」

パシャッ!


それから次の日。新聞と共に幻想卿中に一つのニュースが駆け巡った。

『射命丸文が新聞屋として復帰した』と……

おわり。
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【 2010/06/15 (Tue) 】 東方SS | TB(0) | CM(0)
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