春屋

こちらはゲーム「THE IDOLM@STER」「東方project」を応援しているサイトです。管理人のプレイ日記や、SSが置いてあります。
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やよいSP編 第12話 『未来へのハイタッチ』

こちらはアイマスSPのSSになっています。
続きものになっていますので、右にあるカテゴリの
「アイマスのSS やよい編(SP)」に前回までの
お話がありますので初めての方はそちらからどうぞ。

これが最終回です。なので3時間スペシャル並みに長いですw

ゲストとして麻宵の超月下乱舞祭のエクレアさんの作られたキャラが
一人出てきます。詳しくはこちらへ~♪
あと、他にもゲストがいますが読んでからのお楽しみに。





ついにやってきたIU大賞の決勝当日。

765プロの事務所では、プロデューサーである黒崎絆とここまで勝ち抜いてきた
アイドルの高槻やよいが……

「やよい、コンビニで買ってきたロールケーキ食うか?」

「わあ~♪食べまーす!」

「ほれ、あーん」

「あーん・・・ん~♪おいしいです~~♪」

のんびりまったりしていた。今日ですべてが決まってしまうというのにも
係わらず、いつも以上にゆったりしていた。そんな二人を見かねたのか、
律子や綾乃、春香たちが集まってきた。

「あんたたち、今日が最後の決戦だって分かってるんでしょうね~!」

「二人ともそんなに緊張感なくていいの?」

「なんだよ、律子も綾乃もうるせえな。ここまで来たらいつも通りにやるだけだ。
 それに、もう俺のできる事は応援する事だけだ。なっ、やよい」

「はい!でも~、応援してくれるだけでもとっても嬉しいです!」

いつも通りのやよいの笑顔を見て、絆はやよいの頭を撫でてあげた。

「そういえば、今日はどの曲を歌うの?もしかして『太陽のジェラシー』だったり?」

「え~!ここはやっぱ『ポジティブ!』っしょ~!」

「『スタ→トスタ→』も捨てがたいよね~♪」

やよいは春香と亜美、真美の問いかけに首を振った。

「ご、ごめんなさい。歌う歌はもう決めてるんです」

「そうなんだ。ちょっと残念だけど、今のやよいなら何を歌っても勝てそうだね」

「そうだね~・・・やっぱし、兄ちゃんとのラブパワーは偉大ですな~♪」

「ホントだよね~♪デ○ルガンダムも一撃で倒せそうな勢いだよね~♪」

「も、もう~!亜美も真美もやめてよ~!恥ずかしいよ~!」

やよいが亜美と真美にからかわれている横で、千早と雪歩が絆に質問していた。

「プロデューサー、高槻さんはどの曲で今日の決勝に挑むつもりなんですか?」

「私も気になります。それとも、秘密にしなきゃいけない理由があるんですか」

「そういうわけじゃないんだが・・・まあ、TVで見てれば分かるよ。毎回驚いてる気も
 するけど、今回は一番驚いたぜ」

「あ、そっか。今日の決勝はTVで生放送されるんですよね」

今日のIU決勝戦はTVで全国放送される事になっている。
その為、決勝が終わり次第そのまま受賞式という流れになっていた。

「やよいちゃん、大変だとは思うけどがんばってね。事務所のTVから
 一生懸命応援してるわ」

「僕もがんばって応援するよ。やよい、僕ら765プロの団結力を見せつけちゃえ!」

「はい!あずささん、真さん、ありがとうございます!」

あずさたちと話をしていたやよいの所に、伊織が割って入ってきた。

「や、やよい!これ・・・今日だけ特別に貸してあげる!」

そう言って伊織が渡してきたのは、いつも大事に抱えているウサギの
ぬいぐるみだった。

「ええ!?い、いいよ。だってこれは伊織ちゃんの大事な・・・」

「だからよ!……だから、必ず勝って帰ってきて返しなさいよ。約束だからね」

「伊織ちゃん・・・うん!私、絶対に勝って帰ってくる!約束だよ!」

そんなやよいと伊織の指きりを見届けた絆は、ソファーから立ち上がり
事務所にいるメンバーを見渡した。

「みんな、出発前に俺から一言いいか。・・・俺とやよいは必ず勝つ。そんで、
 美希の奴も連れて帰ってきてやる」

「プロデューサーさん、その意気です。そうだ!みんな、手を出して・・・」

春香の提案でみんなで円陣を組み、手を出す。

「わ、私たちもかね?」

「はい。社長や小鳥さんだって765プロの仲間ですよ♪」

「うふふ。春香ちゃん、ありがとう」

「それじゃあ……プロデューサーさんとやよいの勝利を願って!765プロー!
 ファイトー・・・」

『おーーーーー!!』

こうして、765プロの仲間たちのエールを受けて、絆とやよいは会場へと
出発するのだった。


……それと時を同じ頃。

とあるファミレスで、今日のIU決勝戦に出る星井美希がボーっと人を待っていた。

「んー・・・あふぅ、ちょっとヒマなの~」

そんなアイドルとは思えないくらいにだらけている美希の肩をポンと叩く少女が一人。

「今からIU大賞の決勝に出る人とは思えないよ、美希」

そう言って同じテーブルの席に座ったのはE.T.Oプロダクションに所属している
赤羽花梨。IU予選の頃にちょっとした事で出会い、すっかり友達同士になっていた。

「ひどいなー。これでもちょっとは緊張してるんだよ。まあ、だから花梨を
 呼んだんだけどね」

「うん?どういうこと?」

花梨は今朝唐突にメールで『IU決勝戦の前に会いたいの☆』と言われ、
訳も分からずここに来ていた。

「あのね、花梨・・・」

「な、なに?」

同じ女の子であってもクラッとしてしまう美希の上目遣いに花梨がたじろいでると、
ようやく美希が用件を話し始めた。

「今日なんだけど・・・一緒に会場に来て応援してほしいの」

「ええ!?な、何で私なの?」

「えっとね、今のミキは765プロのみんなに応援してもらうわけにはいかないし、
 響や貴音も自分の事で大変そうだし・・・」

「美希・・・」

「それに、どうせ花梨はヒマだと思って~♪」

ガンッとテーブルに頭をぶつけた花梨。

「あー、うん、ヒマだよ。どーせヒマですよー、アハハハハ」

そして、自虐的に笑っていた。

「よかったー☆花梨が応援してくれたら心強いの♪」

「色々と引っかかるけど、喜んでもらえて何よりかな」

「うん、今日は負けられないからね。負けちゃったらハニーも取られちゃうし、
 クビだからね~」

「そうなんだ~、クビ……ええーー!?」

あまりにもサラッととんでもない事を言われた花梨は一瞬聞き流しそうになったが、
思い切り声を出して驚いていた。

「もうー、花梨ちょっとうるさいのー」

「ああ、ごめん・・・って、大丈夫なの美希。だって・・・」

「うん、大丈夫だよ。だって、勝てばいいんだもん」

「・・・あ、あはは!もう、美希ったら~!」

あっけらかんとそう言う美希を見て、心配している自分がちょっと可笑しくなって
しまった花梨は笑い出していた。

「うう~!ミキは真剣なのに~!」

「ごめんごめん。でも、そんな簡単に会場に入れるの?」

「うん、まかせてなの♪」

『本当に大丈夫なのかな?』と不安が残る花梨を引き連れて、
美希もIUの会場へと向かうのだった。


IU大賞 決勝戦会場。

絆とやよいは控え室で準備を済ませ、今日の勝ち負けを左右するであろう
話をしていた。

「さてと、そんじゃあ俺は黒井のおっさんの所に行ってくる」

「あの、絆さん・・・ケンカしてきちゃダメですよ?」

「分かってるよ。・・・多分」

「あう・・・。その~、今さらですけど本当に私の言ったとおりにしてもらっちゃって
 いいんですか?」

「ああ、いいよ。それに、ここまでお前の言うとおりにして勝ってきたんだ。
 俺は勝利の女神様の言うとおりにするだけだぜ」

絆はそう言ってやよいの頭をポンと軽く叩いて部屋を出て行った。

「・・・ええっ?女神様って私ですかー!?」


控え室を出た絆は黒井所長を見つけるために通路を歩いていた。

「うーん・・・やよいにも言われたが、思わず手が出ないようにしないとな・・・」

と、そんな独り言を呟いていると目的の人物を発見した。

「おやおや~?こんな所でヒマそうにしているのは765プロではないか。
 随分と余裕だね~」

(・・・殴りてぇー)

目の前に現れた黒井社長を殴ってしまいそうな右手を左手で押さえつつ、
絆は話を切り出した。

「黒井のおっさん、あんたに今日の事でちょっと提案があるんだがいいか?」

「ウィ?何故に君の提案に乗らなくてはいけないのかね~?」

「な~に、ちょっとウチの姫様のお願いでな。・・・今日の決勝、美希たちと
 同じ曲で戦いたいって」

絆の話に興味が無かった黒井社長だが、さすがにこの提案には反応を
示した。

「ふっ、君たちはバカなのかね。自ら勝ちを我々に譲っている様なものだぞ」

「俺もそう言ったんだがな。まあ、決勝に残ったのがやよいと美希、響、貴音の
 四人だけだからできる事なんだが・・・なんだよ、せっかくの勝てるチャンス
 いらないのかよ?」

「なにぃ~?」

「俺らは別にいいんだぜ。別の曲でやった方が俺たちは確実に勝てるしな・・・」

「ふざけるなよ、小物風情が!この私がお前らごときに負けると思っているのか!」

絆は挑発に乗ってきた黒井社長を見て『釣れたクマー』と思いながら話を続ける。

「残念だがな、あの『オーバーマスター』はいい曲だよ。だから、俺たちにも
 使わせてほしいな~って思ってな。頼むぜ、この通りだ」

絆が頭を下げると、黒井社長はニヤリと笑いこう答えた。

「ふ・・・ふぁーはっはっは!そうか、私のの偉大さにようやく気づいたか!
 仕方ないな・・・その提案に乗ってやるとしよう。まあ、どうせ勝つのは
 わが961プロだがね・・・フフフ、ハーハハハ!!」

高笑いを残し、黒井社長は去っていった。残った絆はというと・・・

「……簡単に釣れたな。しかし、あのおっさん単純すぎないか?」

黒井社長が何かの詐欺に引っかかるんじゃないかと少々心配にもなったが、
作戦がうまくいった事に絆は安堵していた。

「あとはやよいを信じるしかないな。さて、戻るとするか」

絆はやよいのいる控え室へと引き返していった。


しばらくして、控え室の前まで戻ってきた絆だが……

「ん?やよいの他に誰か控え室にいるのか?」

ガチャ。

「あー!おにいちゃんだー!」

ドアを開けた絆に駆け寄ってきたのは、星一郎と麻耶の娘である月華だった。

「うわっと・・・月華か。何でお前がこんな所に?」

「ごめんね、絆君。忙しいとは思うけど、月華がどうしても二人に会いたいって
 聞かなくって」

「よっ、クロサキ。お邪魔してるぜ」

楽屋の中には月華の親である星一郎と麻耶の姿もあった。

「つーか、お前らここに来ていいのか?美希たちはどうしてるんだ」

「それがな、『集中させるために今は会うな』って社長に言われちまってさ~」

「美希さんたち、一人ぼっちで大丈夫なのかな~。心配です~」

やよいが美希たちの事を心配していると、月華がやよいの頭を撫でていた。

「だいじょーぶだよ♪ほら、みてみて~♪」

そう言って持っていた携帯(麻耶の)を見せる。そこには美希たちとの楽しそうな
文面のメールがたくさんあった。

「これって・・・」

「月華ったらね、すっかり美希ちゃんたちと仲良くなっちゃって」

「そうだったんですね。月華ちゃん、美希さんたちと仲良くしてくれてありがとう♪」

「うん。でも、今日はやよいちゃんをいっしょーけんめーおうえんするね!」

そう言い月華はやよいの方へ向けて手を上げる。

「ありがとう、月華ちゃん!それじゃ・・・」

『ハイ!ターッチ!いえい!』

仲良くハイタッチしている二人を眺めている絆に星一郎と麻耶が声を掛けた。

「なあ、クロサキ。お前、黒井社長に妙な条件を吹っかけたみたいだが、
 勝算はあるのかよ?」

「そうね。曲を作った私たちが言うのもなんだけど、あの曲を歌うあの三人は
 相当に強敵よ。本当に大丈夫、心配だわ~?」

「何で俺らの事心配してんだよ・・・」

「まあ、美希ちゃんたちの事はもちろん応援するぜ。ここまで面倒見てきた
 仲間だしな」

「でもね・・・私たちはそれでも絆君に勝ってほしいな。わがままだよね・・・」

「……ありがとうな、二人とも」

絆はそう言って、立ち上がった。その表情には何の不安も迷いも無かった。

「さて、そろそろ行くか。やよい、準備はいいか?」

「はーい!まかせてください!」

「じゃあ、俺たちも戻るか」

「二人とも、がんばってね」

「やよいちゃん!おにいちゃん!がんばれー!」

星一郎、麻耶、月華の声を受け、やよいと絆はステージへと向かった。

やよいは今まで応援してくれた、信じてくれた人たちの為、そして絆の為に。
絆も今までの過去とケリをつける為。それと大切に想うやよいの為に。


審査員席。そこには不敵な笑みを浮かべる黒井社長の姿があった。

「クックック・・・黒崎絆。あんな奴など今のままでも十分だが、念には念を
 入れて潰さないとな。ここまで予想外が多すぎたからな」

黒井社長は審査員たちを待ちながらステージを見ていた。

(765プロが勝つ事は絶対に無い……何故なら今回の審査員たちはいつもの
 三人を除いてすべて私に逆らえぬ者達ばかり。あの三人が765プロに
 点を入れても、こちらの方が数は上・・・つまり私の勝ちなのだ!)

今にも大きな声で笑い出しそうな黒井社長だったが、時間が経つにつれて
その表情が険しくなっていた。

「・・・遅い。何をしているのだ、一体」

そんなイライラしている黒井社長をよそに、歌田、軽口、山崎の三人がやってきた。

「あら、黒井社長。こんな所で何を?」

「い、いや~、皆さんに挨拶をしなければと思いまして。今日は大舞台ですし」

「そうだな。まあ、じっくり見させてもらうぜ」

「それにしてもそんな事でわざわざ?・・・もしかして、私に会いに来てくれたの!」

「そ、それは違います!ちょ、やめい!にじり寄るなー!」

山崎に言い寄られて青ざめる黒井社長は、まだ来ない審査員たちの事を
気に掛けていた。

「そ、それにしても他の方々は遅いですな~・・・どうしたんでしょうね~」

「ああ、まだ聞いてないのね。他の審査員なら今日は来れないそうよ」

「……はあ!?な、何故・・・」

「それは僕が説明しよう」

歌田に衝撃の事実を突きつけられた黒井社長の後ろに、一人の若い男が
立っていた。

「なっ・・・あ、あなたは武田プロデューサー!?」

「そう、僕だ。久しぶりだね、黒井社長」

彼の名は武田蒼一。人気番組である『オールドホイッスル』の製作者。
そして、この業界で知る物はいないとされる敏腕プロデューサーである。

「さて、他の審査員たちだが・・・みんな急な腹痛とかで帰ってしまったよ。
 どうしたんだろうね、出されたお弁当が悪かったのかな?」

そう言い、わざとらしく考えるポーズを取る武田。それを見た黒井社長は
内心とても焦っていた。

(ま・・・まさか!私の手回しがすべてバレて!・・・ありえる、この男ならありえる!)

「でも、心配ないよ。丁度、僕は今日何も予定が無いんだ。せっかくだから、
 審査員として参加してもいいかな?」

「ふむ・・・問題ないでしょう。武田さんならこちらから喜んで」

「ありがとうございます、歌田さん。ああ、ついでにもう一人ゲストがいるんだけど、
 その方もいいかな?」

すると、武田の後ろからエプロン姿のに買い物かごを持った女性が姿を見せた。
その姿を見て、黒井社長はおろか歌田達三人も驚愕していた。

「もう~、武田さんったら強引なんだから!私、夕飯の買い物の途中だったのに~」

「それは申し訳ない。でも、あなたも興味あるでしょう・・・この戦いに」

「そうね……今時の子がどんなものか、この私が見てあげようじゃない♪」

その女性は、審査員席に座って子供の様に足をパタパタさせながら
笑顔でステージの方を見ていた。

「・・・武田さん、とんでもない子を連れてきたものね」

「いやいや、偶然見かけただけですよ」

「絶対に偶然じゃねえだろYO・・・」

「でも、こういうサプライズってシビれちゃうじゃない!今日は楽しくなりそうね~!」

「あっ、そちらの三人もお久しぶりー♪・・・ちょっと老けた?」

と、歌田達三人にヒラヒラと手を振る女性。

「ちょっと~!老けてないわよっ!」

「そうなんだYO・・・最近地味に生え際が・・・」

「まあ、あなたがあの頃から変わらないだけでしょうけどね」

その様子を見ていた黒井社長の顔色はさらに悪くなるばかりだった。

(お、おのれ~!武田蒼一!!貴様のせいで私のすばらしい計画が・・・!)

「さて、そろそろ時間だね。黒井社長、ここから退席を願おうかな。ここにこれから
 オーディションをするプロダクションの社長がいると・・・何か不正がある様に
 誤解されてしまうからね」

笑顔ではあるが、その武田の視線はとても鋭いものだった。

「は、はい~。それでは、私は失礼します……」

黒井社長は拳を震わせながら審査員席を後にした。
それを見送った武田は小さな声で呟いた。

「ここは夢を手に入れるために戦う彼女達の聖域……誰であろうとその聖域を
 踏みにじる事は許されないのだよ」

「武田さーん、始まっちゃうよー?」

「はい。今、戻りますよ」


その頃、ステージ袖で絆とやよいは最後のチェックをしていた。

「・・・プ、プロデューサー、お客さんがすごくたくさんいます~!」

「さすが決勝戦だな。やよい、一つだけ忘れないでほしい事がある」

「なんですか?」

絆はやよいの目をしっかりと見てこう言った。

「いいか・・・ステージを楽しむって事を忘れるな。嫌々やってるモノ見せられても
 楽しくも何ともないからな」

「はい!私・・・このステージでみんなに『ありがとう』って伝えたいです!
 だから、見てるみんなが楽しんでもらえるようにがんばります!」

「よし、後はまかせたぜ・・・」

絆が観客席に向かおうと背を向けた時、不意に絆の背中にやよいが抱きついた。

「ん?どうした、緊張でもしてんのか」

「えっと・・・絆さんのあったかさを覚えておこうと思って。ステージでも、絆さんが
 すぐ近くにいてくれてるって思えるから」

「あ~・・・ちょっと恥ずかしいな」

「・・・それを見せられるこっちも恥ずかしいぞー!」

ドガッ!!

「ぐおっ!?」

と、絆に正拳突きを食らわせる響。その後ろには赤面している貴音と『あふぅ』と
あくびをしている美希の姿があった。

「ひ、響、その・・・お邪魔をしてはいけないかと・・・」

「響は空気読めないの~」

「美希に言われたくいないぞ!つーか、どう見てもこんな所でイチャついてる
 こいつが一番悪いぞー!」

「絆さーん!大丈夫ですか~!」

響の拳でダメージを負ったものの、何とか絆は立ち上がった。

「お、お前な・・・マジで痛いって」

「ふんっ、そんな余裕もここまでだぞ!今回はやよいが泣く事になっても
 容赦しないからな!」

「そうですね。この戦場(いくさば)で情けは無用・・・お互い全力で参りましょう」

響も貴音も今までとは比べ物にならないくらいの闘志を感じさせていた。

「ねえ、プロデューサー。やっぱり、ミキはプロデューサーが好きなの。
 だから、絶対にやよいには負けたくないの」

「……そうかよ。だったら、お前が勝ったら俺の事好きにしろ」

「ホント?じゃあ、ミキ、ちょー全力モードでがんばるのー!」

そんなやる気MAXの美希を見た絆は、やよいの頭に手を置き
こう言った。

「まあ、俺のやよいが負けるとかありえないんだけどな」

「はわっ!え、えっと~・・・がんばります!」

「・・・あはは!本当にお前たちって面白い奴だな!」

「ふふっ。確かに絆殿とやよいを見ていると、不思議とつらい事や不安を
 忘れさせてくれますね」

「む~。なんかミキ、もう負けてる気がするの~」

「それじゃあ、俺はもう行くわ。美希、響、貴音、お前らもがんばれよ」

そう言い残して、絆はステージ袖を去っていった。

「あ、そうだ!皆さん、手を出してもらってもいいですか?」

「ん?あー、アレやるんだね、やよい☆」

美希はやよいに言われたとおりに手を上げる。

「ほら、響も貴音もやるの~」

「えっ、何をするんだよ?」

「美希、一体何を・・・」

美希は少々強引に二人の手を取ると、やよいに合図を送る。

「えっと、それじゃあ!美希さん、響さん、貴音さん!今日はがんばりましょー!」

『ハイ!ターッチ!いえい!』

四人の手がパチンと音を立てハイタッチを交わした。

「あはは☆やよいのコレ、久しぶりなの♪」

「これって、おまじないみたいなモノなのか?」

「はい♪・・・その、元気出ましたか?」

「うふふっ、本当にやよいは不思議な子ですね」

貴音は絆がいつもしている様にやよいの頭を撫でていた。

「本当に・・・あなたと一緒の道を歩めたなら、どれだけ良かったでしょうね」

「そうだな。でも、そんなの今さらだぞ」

「ミキ的には今の状況も結構好きだよ。でないと、響や貴音に会えなかったと
 思うしね」

そう言い、美希もやよいの頭に手を置いた。

「美希さん・・・」

「やよい、ミキ負けないよ。でも、それ以上にこのオーディションを楽しんでみたい!
 すっごく強くなったやよいと・・・本気で!」

「おーい、自分たちも忘れないでくれよー!」

「そうですね、私たちも己の負けられない理由の為に・・・」

これから始まる最後の戦い。だが、そのステージ袖の空気はそんな事を
思わせないほど、とても和やかだった。そして、その空気を作ったやよい本人は、
その事を知る由も無かった。


やよいたちと別れた絆は観客席へと向かっていたのだが……

「キミ、ここは関係者以外立ち入り禁止だよ。どうやって入ったんだ?」

「だから、友達に言われて応援に来たんですってば~!」

「ん・・・何をもめてるんだ?」

観客席へ向かう途中、警備員と一人の女の子がなにやら言い争いを
してるのを見かけた。

「友達って、誰の事なんだい」

「うっ……ほ、星井美希」

「……さあ、出口はこっちだから」

「本当なんだってば~!」

「美希の友達?……ふむ」

絆はその女の子が嘘を言っている様には見えなかったので、
警備員と女の子の所へと近づいていった。

「悪い、そいつは俺が連れてきたんだ。途中ではぐれちまってな」

「あ、あなたは765プロの・・・。そうだったんですか、それなら早く言って
 ほしかったですよ」

「え?えっと・・・すいません」

「それでは自分はこれで」

そう言い、警備員は去っていった。

「・・・ふう、何とかなったな」

「あの~?もしかしなくても、美希のプロデューサーさんですか?」

「今の状況だと『元』プロデューサーだけどな。それで、お前は・・・」

「あっ、ごめんなさい。私は赤羽花梨、E.T.Oプロのアイドルです。さっきは
 ありがとうございました」

そう言って花梨は頭を下げた。

「別にいいって。前に美希から新しい友達が出来たって聞いたけど、それが
 お前だったんだな」

絆は前に美希と遊園地に行った時に花梨の事を少し聞いていた。

「本当に助かりました。・・・美希ったら、会場に入るまではよかったけど、
 その後の事は考えてないんだから」

「それは・・・俺から謝る。なんか、美希のせいでごめん」

「そんな、謝らなくていいですよ。……ふーん、美希の言った通りの人なんだ」

「あいつはどんな風に俺の事言ってたんだ?」

「えっと、目つきが怖いけどカッコいい人・・・あっ」

花梨の話を聞いた絆は肩を落として悲しそうな顔をしていた。

「あー、うん。どうせ、俺は怖い顔してるよな」

「だ、大丈夫です!見た目よりも優しい人だって分かりましたし!」

「それはフォローになってるのか?・・・まあ、いいや。それよりも、美希の応援
 よろしく頼むな」

「はい、それはまかせてください!」

花梨の返事を聞いて、絆は安心した。

「それじゃあ、そろそろ行くかな」

「じゃあ、私も。……そうだ、美希のプロデューサーさん。一つだけいいですか?」

「なんだ?」

「もうちょっとだけ、美希の事見てあげて下さいね。美希は本当に
 プロデューサーさんの事が好きなんですからね」

「んー、努力する。それじゃ、またな」

そう言って、絆と花梨は別々の席へと歩いていった。


観客席に座っている絆の膝の上には、伊織から借りてきたウサギの
ぬいぐるみが乗っていた。

「……もしかしなくても恥ずかしいな、これ」

そんな事を呟いていると、ステージに司会者が現れた。

『皆様、お待たせいたしました。これより、IU最終決勝を始めたいと思います』

拍手が鳴り響く中、司会者はステージ上のやよい、美希、響、貴音の
紹介を始めた。

『今回、961プロ以外で唯一残ったアイドル・・・高槻やよいさん!
 それでは決勝に向けての意気込みを聞いてみましょう!』

『えっと、みなさん、こんにちわー!765プロの高槻やよいです!
 今日はここまで応援してくださったみんなのためにも、いーっぱい!
 がんばります!よろしくおねがいしまーす!』

ワーーー!!やよいちゃーーん!!がんばれーーー!!!

『さて、次は今回の本命でもある961プロ所属の一人。電撃移籍で話題をさらった
 星井美希さん!』

『やっほー、ミキだよー☆みんな、今日はありがとうなのー!お礼にミキの
 本気を見せてあげるから、ミキから目を離さないでねー♪』

オオオーーー!!美希ちゃーーん!!わーーーー!!

『続いても961プロのアイドル!沖縄生まれの太陽娘!我那覇響さん!』

『はいさーい!みんなー!自分、今日は誰にも負けない気持ちで行くから、
 応援よろしくなー!!』

ひーびーきー!ひーびーきー!!ひーびーきー!!!

『さあ!太陽の次は月の姫!その姿はまさに銀髪の女王!四条貴音さん!』

『皆様、今日は私のすべてをこのステージで披露したいと思います。
 どうか、よろしくおねがいいたします』

おーーー!!姫様ーーー!!わーーーー!!

『それでは、今回のルールを説明いたします。一人ずつステージで歌と
 ダンスを披露していただきます。その後、審査員の方々の点数によって
 IUの優勝者が決まります。なお、今回は特別ルールとしまして、
 使用楽曲は961プロの『オーバーマスター』になります。このルールは
 765プロ側も了承済みとなっています』

腕を組んだままの絆はステージの上のやよいを見ていた。

「やよいの順番は一番最後だったな……頼むぜ、やよい」

柄にも無く、祈るような気持ちでやよいの姿を見つめていた。
そして、ついに最後のステージの幕が上がった。

最初に姿を現したのは響。そのパフォーマンスはいつも以上に力強く、
そして輝いていた。観客もそんな響へと大きな歓声を浴びせていた。

次にステージに上がったのは貴音。同じ曲、同じダンスのはずなのだが、
貴音の優雅な姿に観客達は言葉を失うほどだった。

だが、そんな二人よりも凄かったのは美希だった。ステージ袖で見ている
やよいたちや観客席の絆までもが驚くほどのステージを見せつけた。
そのステージを見て、絆は初めて美希を怖い存在なのだと認識した。

「……こりゃあ、とんでもない化物を目覚めさせちまったかな?」

絆は美希を敵に回した事を、今更ながら後悔していた。


ステージ袖……

ステージから戻ってきた美希は響に支えられて何とか立っている状態だった。

「はあ・・・はあ・・・ど、どうだった?ミキの、本気・・・」

「いや、すごかったけど、あんだけできるなら最初からやれよ・・・」

「はあ・・・だって、それじゃ疲れちゃうの☆」

「でも、とても見事なステージでした。私や響では太刀打ちできそうも
 ありませんね」

「悔しいけど、貴音の言う通りだな。でも、まだわからないぞ。なあ、やよい」

響に声を掛けられたやよいだが、本気の3人のステージを目の当たりに
したためか、足が震えているようだった。

「う、うう・・・」

「だ、大丈夫か?キズナを呼んでくるか?」

「今からでは間に合わないかと。でも、どうしましょう・・・」

「……響、ありがとなの。もう大丈夫だから」

そう言い、美希はやよいの方へと歩いていく。

「あ・・・美希さん・・・って、はわっ!?」

美希はやよいに抱きついていた。

「えへへ~♪やよいって、ホントにちっちゃくてカワイイの♪」

「み、美希さん?」

「・・・ねえ、やよい。ミキはミキの本気を見せたよ。だから、やよいの本気も
 見せてほしいな。だから・・・がんばって、やよい☆」

美希からのエールを受けたやよいは、泣きそうなほど嬉しかった。
そして、すっかり足の震えはどこかへ行ってしまっていた。

「高槻やよいさーん!そろそろステージへおねがいしまーす!」

「はーい!・・・美希さん、響さん、貴音さん。私の本気のステージ、
 見ててください!!」

先程とは打って変わり、しっかりとした足取りでやよいはステージへと向かった。

「・・・あふぅ」

「おっとっと。無理するなよ、美希」

倒れそうになった美希を響が再び支えていた。

「少し休んでいてはどうですか?」

「ヤなの。だって・・・やよいのステージ、ちゃんと見てたいから」

「やれやれ、しょうがない奴だな」

「美希、私の方にも寄りかかってください。そうすればもうちょっと楽になる
 はずです」

「・・・二人とも、本当にありがとうなの」

すると、響と貴音は顔を見合わせ笑いながらこう返した。

「そんなの今更だぞ」
「そのような事、今更ですよ」

響と貴音に支えられながら、美希はやよいのステージを見つめていた。


そして、運命を決めるやよいのステージが始まった。

ステージの上のやよいは、自分でも驚くほど落ち着いていた。

(不思議だな・・・さっきまであんなに緊張してたのに、今はぜんぜん平気。
 きっと、美希さんや響さんや貴音さん、みんなのおかげなんだろうな)

やよいのステージは続く。その歌とダンスは序盤こそ普通だった。

(大事なステージだけど・・・すごく楽しい!でも、それだけじゃまだダメ!
 響さんよりも、貴音さんよりも・・・!)

中盤に差し掛かった頃、やよいのダンスは響よりも激しく、歌は貴音を
上回るものになっていた。その姿に観客達は沸き、絆は驚いていた。

(美希さんよりも・・・もっと!もっとー!!)

そして、そのステージは先ほどの美希を圧倒するほどの完成度に
なっていた。その姿に黒井社長も立ち上がるほどだった。

(私の『楽しい』気持ち!みんなにとどけーーー!!!)


……ステージが終わった時、すさまじい歓声と拍手の海がやよいを待っていた。

『はあ・・はあ・・・・み、みなさん!ありがとうございましたーー!!』

わーーー!!!わーーーー!!!わーーーーー!!!

歓声が鳴り止まない中、審査員席では武田が連れてきた女性が
席を立っていた。

「おや?もうお帰りですか。」

「うん、だって結果はもう出たでしょ。いやー、すごいわあのコ。
 あんなコが私の時代にも居たらよかったのにな~。まったく、ウチの子も
 もっと頑張らせないとダメね。そんじゃ、まったね~♪」

そう言い残して女性は買い物カゴ片手に去っていった。

「・・・はは。やれやれ、相変わらずな人だ」

武田は女性の残した採点用紙を見て苦笑いをしていた。
それは点数を書かなければならない所に花丸が書いてあったからであった。

そして、ステージの興奮も冷めやらぬ中、結果発表の時を迎えた。

『さあ、まさに今!私の手に審査結果の書かれた封筒が届きました!
 ……それでは発表いたします!IU大賞、優勝はっ・・・!!!』

ドラムロールが鳴り響く中、ステージの上のやよい達や観客達が息の飲む。
そして……

『765プロ所属・・・高槻やよいさんです!!!』

わーーーー!!!わーーーー!!!

スポットライトがやよいに当たっているのだが、まだ信じられないのか
ぼーっと立っているだけだった。

「お、おい、やよい!コメント、コメントだぞ!」

「高槻やよい、応援してくださった皆様に声を聞かせてあげてください」

「やよい、ほらほらなの♪」

「えっ?あっ、はい!」

美希たちに背中を押され、マイクの前に立つやよい。

『えっと~……ごめんなさい!この言葉しか浮かびません!私を応援してくれた
 みなさーーーん!!ありがとうございまーーーす!!!』

再び大きな拍手と声援が上がる中、絆は椅子に座ったままだった。

「……か、勝っちまった。やよい、すげえ」


その頃、765プロでは。

『やよいっちが勝ったよーーー!!わーーい!!』

「やったよ!千早ちゃん!プロデューサーさんとやよいが・・・い、いたた!
 なんで私のほっぺを引っ張るの~~!」

「あ・・・本当なんだ。高槻さんもプロデューサーもすごいわ!」

「あう、自分の頬を引っ張ってよ~」

春香と千早の後ろでは雪歩と真が泣いて喜んでいた。

「うわ~ん!やよいちゃんとプロデューサーが・・・優勝ですぅ~~!!」

「ぐすっ・・・ゆ、雪歩・・・せっかくのおめでたい日に・・・泣いたらダメだよ」

「あらあら、そんな事言ってる真ちゃんも泣いてるわよ」

「うー、そんなあずささんだって、涙ぐんでるじゃないですかー」

三人で嬉し泣きをしているあずさ達とは対照的に、律子と綾乃は静かだった。
そんな二人を涙でクシャクシャになった小鳥と伊織が責めていた。

「ううっ~・・・律子さんと綾乃さん~!どうしてそんな冷静でいられるん
 ですか~!」

「そ、そうよ!ぐすっ・・・あんた達は嬉しくないの!」

「・・・いや、だってねえ、綾乃さん」

「うん。黒崎君とやよいちゃんなら、きっと勝っちゃうんだろうな~って予感は
 あったからね。でも、本当にすごいわ」

「ええ・・・でも、ちょっと悔しいですね。これでプロデューサーとして、だいぶ差を
 つけられちゃったし」

「そうね、私も本当に頑張らないと・・・」

騒がしいTV前から離れた社長室では、高木社長が一人お茶を飲みながら
一枚の写真を眺めていた。

「やれやれ……人を信じる事を知らなかったあの少年が、仲間を信じる事を
 知り、そして様々な人との絆を紡いでここまで辿り着いたよ。黒井……
 お前はまだ暗闇の中にいるのか・・・」


場所は戻ってIU会場。控え室前の通路。

「プロデューサー!私、やりましたー!最後に大逆転ホームランを
 打ちましたー!・・・あれ?プロデューサー?」

「あ、ああ。なんか・・・本当に勝ったんだって、まだ実感が無くてな。
 ははは・・・」

「えっと~、それじゃあ・・・えいっ!」

やよいは思いっきり絆の胸へ飛び込んでいった。

「おっと!な、なんだよ、いきなり」

「えへへ♪これで夢じゃないってわかりましたか♪」

「あ~、信じる。それにしても、本当によくやったぜ。お前はすごいよ。
 俺の予想よりもずっとずっと、すごいアイドルだ」

絆はいつもの様にやよいの頭を撫でてあげた。
そんな二人の前に美希、響、貴音がやってきた。

「・・・うわ~、見事なまでなバカップルがいるぞ」

「ひ、響。ここは黙って立ち去るのが礼儀かと・・・」

「あふぅ、別に気にしなくていいと思うの。いつもこんな感じだし」

「いきなり来てなんだよ。やよいは俺のなんだから、どうしようが
 勝手だろ」

「・・・自分、こんなのに負けたかと思うとちょっと悲しいぞ」

「ですが、私たちがやよいと絆殿の『絆』に負けてしまったのは事実です」

絆は戦いに負けてしまった響と貴音を見てこう言った。

「俺が言うのもなんだけど・・・お前らもよくやったな、凄かったぜ」

そして、二人の頭をやよいの時と同じ様に撫でていた。

「うー・・・子ども扱いするなよ」

「あ、あの・・・」

「二人とも、それはプロデューサーのクセみたいなものだから、
 気にしなくてもいいの」

「あはは、響さんも貴音さんも顔が真っ赤です」

「み、見るなー!恥ずかしいから見るなー!」

「うう・・・やよいも絆殿もいけずです」

先ほどまで激しい争いをしていた者同士とは思えないほど、その場は
笑い声に包まれていた。だが、そんな中現れたのは黒井社長であった。

「お前たち……ここで何をしている」

「そうだな・・・素直に負けを認めに、かな?」

「はい、私たちの力ではこの二人に及ばなかった様です」

「ミキ、ずっと言ってたよね。プロデューサーとやよいに気を付けないと
 ダメだよって」

「もういい!お前らみたいな負け犬は961プロに必要ないっ!全員、
 まとめてクビだっ!!」

怒りを爆発させた黒井社長が三人を怒鳴りつけた。
そんな三人を見かねたのか、絆が黒井社長の前に立っていた。

「なあ、黒井のおっさん。いくらなんでもクビはひどくないか?
 響や貴音みたいな実力持った奴なんて、そうそういないぜ」

「貴様に口出しされる理由など無い!そもそも、貴様等が私の前に
 立ち塞がったのが原因だろうが!」

「……なら、謝りもしてやるし頭だって下げてやる。だから、せっかく才能の
 ある二人をやめさせないでくれ。・・・あ、美希は責任持って引き取る」

「ミキはおまけなの~?」

「うるさい!貴様に頭を下げられたところで、今まで掛けた金や時間は
 戻らん!私が必要としてるのは勝者のみだ!勝負に勝てなかった者
 などゴミだ!そんなゴミに用は無いっ!」

「……」

急に無言になった絆の背中を見て、やよいと美希は『あ、マズイ』と思った。

「う~、さすがに今のは自分もムカついたぞ・・・って、やよいと美希は
 どうかしたのか?」

「先ほどから、顔色が悪いようなのですが」

「あ、あう、き、絆さんが~・・・」

「本気で怒っちゃったの・・・」

やよいはオロオロと美希はガタガタと震えていた。

「そ、そんなに怖いのか?」

「・・・二人の顔を見ていると、答えはすぐに分かりますね」

後ろでそんなやり取りをしている間にも、絆が黒井社長との距離を
詰めていく。

「な、なんだ?キミも訳がわからない男だな。あの二人がどうなろうが
 キミには関係無い筈だろう」

「そうだな。俺も変な事してるってわかってるよ・・・でもな、俺は響や貴音が
 どんな想いでアイドルをやっているかを知っちまった。だから、
 もう他人事じゃない」

さらに距離を詰められ、黒井社長は壁を背に追い込まれてしまっていた。

「ふっ・・・キミも所詮は高木と同じバカか。人との絆や想いなど、何の役にも
 立たんし金にもならん!そんなものを信じている貴様も765プロの連中も
 バカばかりだ!!」

「……そうかよ」

そう言って絆は拳を振り上げる。

「絆さん!ダメです!!」

「プロデューサー!ダメー!!」

……絆の拳は黒井社長の鼻先数ミリの所で止まっていた。

「まっ、昔の俺ならR18指定な光景になるまで殴ってただろうな」

絆はいつもの様に悪戯っぽい笑みで拳を引っ込めた。
それを見たやよいと美希は床にへたり込んでいた。

「黒井のおっさん。あんたの敗因は、その金にもならない人の絆や想いだよ。
 それがあったから俺はここまで来れた。やよいも響や貴音、美希に勝てる
 ほどの力を出せるまでになったんだ」

「……もう十分だ。これ以上お前達と話しても時間の無駄だ」

「待ってください、黒井社長」

立ち去ろうとした黒井社長を貴音が引きとめた。

「なんだね。もうキミには用は無いのだがね」

「それでもです。世間知らずな私に色々とご助力頂いた事、真に感謝して
 おります。本当にありがとうございました。そして、ご期待に添えなかった事、
 申し訳ありませんでした」

「……自分もさ、黒井社長が声掛けてくれなかったら、ずっと沖縄にいただろうな。
 だから・・・黒井社長、勝てなくてごめんなさい!そして、ありがとうございました!」

貴音と響はそれぞれ感謝と謝罪の気持ちを伝えた。
だが、黒井社長は何も言わず、背を向けたまま立ち去ってしまった。

「やれやれ、しょーがないおっさんだな。あんなおっさんにはなりたくない」

「・・・それよりも、さっきはびっくりしましたよ絆さん~!」

「そうなのー!ミキもどうしようかと思ったのー!」

やよいと美希に両サイドからポコポコと叩かれながら絆はこう答えた。

「あそこで黒井のおっさんを殴ったらさ、俺も黒井のおっさんと変わらないだろ。
 俺はそんな事してお前らが悲しむ方が嫌だね」

「・・・キズナも自分や貴音の為にありがとうな」

「本当に、あなた様にはなんとお礼を言えばいいのやら」

響と貴音にお礼を言われた絆が、いつもの言葉を言おうとしたが・・・

「気にするな!ですよね、絆さん♪」
「気にするな!なの☆」

先にやよいと美希に言われてしまい、何とか出た言葉が。

「……なんくるないさー」

そう言った瞬間、やよい達は大爆笑していた。
そして、先ほどまでの重苦しい空気は、もうどこにも無かった。

「さてと、美希は事務所に連れ帰って俺と律子さんによるスーパー説教
 タイムとして・・・」

「う・・・ミキ、今すぐ家に帰りたいな~」

逃走を図ろうとした美希だったが、絆に首根っこを掴まれ失敗した。

「響さんと貴音さんはこれからどうするんですか?」

「自分は一旦沖縄に帰ろうと思う。その後の事はそれから考えるぞ。
 あ、その前に家に電話してみる。前にやよいと約束したもんな」

「響さん・・・家族の人達、きっと喜んでくれますよ!」

「本当にありがとうな、やよい。キズナも色々と助けてくれて感謝してるぞ」

「家族、大事にしろよ」

そう言い、絆と響は握手を交わした。

「私はこの国でやるべき事は終わりました。ですから、次の地へと旅立とうと
 思っております」

「そっか、お前にはまだやるべき事が残ってるんだな」

「はい。やよい、響、美希・・・そして、あなた様には本当に感謝を。
 あなた方に出会えなければ、私は一人で泣いているばかりだったでしょう」

「貴音さん、また会えますよね」

やよいの問いに、貴音は少し困った様な表情で答えた。

「どうでしょう……次へ向かう場所は、とてもとても遠い所ですので」

「・・・大丈夫だ。生きてさえいれば、いつかまた会えるって。でなけりゃ、こっちから
 探し出してでも会いに行くぞ」

「ふふふ、本当にあなた様という人は。そうですね、また必ずお会いできる様に
 私も努力致します」

貴音も絆と握手を交わした。

「それじゃ、自分たちはもう行くぞ。またな、みんな!」

「それでは、またお会いできる日を楽しみにしています・・・ごきげんよう」

そう言い残し、響と貴音は去っていった。

「響さーん!貴音さーん!また会いましょうねー!」

「さて、俺達も帰るぞ。二人とも、さっさと着替えてこい」

「はーい。行きましょう、美希さん」

「・・・うん。それじゃ、着替えてくるの」

やよいと美希は着替える為に控え室の方へ歩いていった。

「美希のやつ、何か様子が変だった様な・・・」

絆が先ほどの美希の事を気に病んでいると、通路の向こうから星一郎たちが
やってきた。

「いやー、まいった。黒井社長にすげえ怒られた、あははは」

「今のお前見たら俺でも殴りたくなるな。で、どうかしたのか」

「あのね、当然なんだけど私たちもクビになっちゃたのよね」

「まあ、そうだろうな。でも、その割には嬉しそうだな」

すると、麻耶は唐突に絆の頭を撫で回した。

「な、何しやがるんだよ麻耶姉!?」

「だって~♪絆君とやよいちゃんが勝ったのが嬉しいんだもん~♪」

「わたしもー!おにいちゃんとやよいちゃんがかってうれしいよー!」

「ちなみに俺も嬉しいと思ってるぜ。ホント、よくやったよお前ら」

星一郎にまでそう言われ、さすがに絆も恥ずかしそうにしていた。

「そういや、お前らは仕事クビになって大丈夫なのか?」

「ん~、俺はまたフリーで仕事やるから平気だな。961プロに入る前に
 戻るだけだしな」

「私もお母さんに戻るだけかな。最近はお仕事忙しかったから、月華とも
 遊んであげられなかったしね」

そう言い月華をギュッと抱きしめる麻耶。

「わたしはおしごとしてるおかあさん、かっこよくてスキだよ♪」

「ありがとう。本当にいい子ね、月華は」

「・・・親バカ全開だな」

「さて、俺たちも帰るわ。キズナ、また暇な時にメシでも一緒に食おうぜ」

「そうね。その時は765プロのみんなも呼んでの方がいいわ。月華も
 喜ぶし」

「うん!はるかちゃんとかあみちゃんとかまみちゃんにもあいたーい!」

「ああ、みんなにも伝えておく。またな、星一郎、麻耶姉」

星一郎と麻耶は娘の月華と仲良く歩いていった。

……が、不意に星一郎が足を止めた。

「……なあ、キズナ。もしよかったらさ、また俺たちと組まないか?
 お前なら、プロデューサーしながらでも歌えるだろうし、まーちゃんも
 喜ぶと思うんだけど」

星一郎からの突然の提案に、絆は迷う事無く答えた。

「だが断る!あいつらの面倒見ながらそんな事したら、一週間で
 ぶっ倒れちまうよ。それに・・・俺には歌うよりもこっちの仕事の方が
 向いてるみたいだしな」

「・・・そっか。残念、バンドの再結成ブームに乗りたかったんだけどな~」

残念そうに肩をすくめて、今度こそ星一郎は去ってしまった。


星一郎たちの帰り道……

「いやー、本当にあいつ変わったな。すげえ良い方にな」

「そうね。でも、なんでかな・・・それがすごく嬉しいの」

「そうだな、俺もすっげえ嬉しい」

「わたしもー!」

星一郎と麻耶は人として大きく成長した絆の事を、誰よりも嬉しく思いながら
帰路に就いた。


それから一時間ほど後。

絆とやよい、美希は帰り道にある海の見える公園を歩いていた。

「ん~!風が気持ちいいです~!」

「まあ、会場の中は暑かったからな。・・・美希、どうかしたのか?さっきから
 黙ってばっかりじゃねえか。そんなに俺と律っちゃんの説教が嫌か」

ここまでの道のり、楽しそうなやよいとは反対に美希はすこし俯き加減で
何かを考えている様子だった。

「う~、絆さん。怒ってばっかりじゃ美希さんが可哀想ですよ。今日くらいは
 許してあげてください」

「うーん。俺は構わないが、律子が何て言うかな」

「ううん、違うの。その事じゃないの」

そう言うと、美希は足を止めて絆とやよいに告げた。

「ごめんね、プロデューサー、やよい。ミキ、やっぱり今は帰れないの」

「え・・・ええっ!?な、なんでですか、美希さん!?」

「勝手に事務所から出て行ったのはもう気にしなくてもいいぜ。俺がお前の
 気持ち考えなかったのが原因だし」

絆が美希の事を気遣ってそう言うが、美希は首を振っていた。

「・・・えへへ。やっぱり、ハニーは優しいね。でも、みんなにたくさん迷惑を
 掛けちゃったのはミキのせいだし。だから、ちょっとだけ時間が欲しいな~って。
 ほら、大好きなハニーもやよいに取られちゃったし、あはは♪」

「美希さん……」

「ふう・・・約束しろ。しばらくしたら必ず765プロに戻ってくるって。できないなら、
 いま力ずくでも連れて帰るぞ」

絆は美希に向かって指きりの為に小指を向けた。
すると、美希も笑顔で小指を絡めた。

「指きりげんまん~♪」

「ウソついたら・・・765プロ全員でお前の家に乗り込む!」

「うわっ、それは困るの。それじゃ、指切ったなの!」

指切りを終えた美希はそのまま絆から離れた。

「じゃあ、ここまででいいの。もう、一人で帰れるし」

「美希さん!本当にすぐ戻ってきてくださいね!」

「うん、大丈夫なの。ミキ、ハニーの事もやよいの事も大好きだから☆」

「気をつけて帰れよ。そんじゃ、またな」

「美希さん、またですー!ぜったいですよー!」

そうして、美希は絆といつまでも手を振るやよいと別れ、公園に一人残った。

「……はあ」

ガサガサッ。

「わっ、誰なの?」

草むらから出てきたのは、美希に忘れ去られ会場に置いてかれていた花梨だった。

「花梨、なんでそんな所から出てきたの?」

「いや、完全に出るタイミングを逃して・・・じゃない!呼ぶだけ呼んでおいて、
 なんで私の事を完全スルーしちゃってるのよー!」

「あ~・・・ゴメンなの。あはは・・・」

バツが悪そうにしている美希に歩み寄る花梨。そして……

「ちょっぷ!あーんど・・・はぐ!!」

花梨は頭にチョップを一発決めた後、美希を抱きしめていた。

「わ、なになに、花梨?今のミキにそんな事しちゃうと、花梨の事好きに
 なっちゃうよ☆」

「あのさ、美希と友達になってから、そんなに長くないかもしれないけど……
 美希がつらいのを我慢してる事ぐらいは判る様になったつもりだよ」

花梨は美希を抱きしめたまま、頭をポンポンと叩いていた。

「美希の方が色々大きいけど・・・私の方がお姉さんなんだから、もうちょっと
 頼ってくれてもいいんだよ・・・なんてね。私、こんな事言えるキャラじゃ
 ないんだけど……」

「……う、うえーーん!うう~!うわーーん!」

今まで溜まっていたものが溢れ出たかのように、美希は大声で泣き出した。
そんな美希を花梨は『やれやれ』といった様子で慰めていた。

「はいはい、泣いちゃえ泣いちゃえ。そんで、またいつものファミレスで
 いくらでも愚痴を聞いてあげるから」

「えーーん!!ひぐっ、花梨、ありがとうなの・・・うわーーーん!!」

夜の公園で人生初の『失恋』をした美希の泣き声が響いていた。

そんな中、先ほど花梨が出てきた所とは別の草むらに二つの影。

「・・・しまったぞ。完全に出ていける雰囲気じゃないぞ」

「そうですね。でも、美希には本当に頼りになる友人や仲間が多いの
 ですね。ふふっ、とても羨ましいかぎりです」

本当は美希が一人になった時に出て行って驚かそうとしていた響と貴音
だったが、すでにそんな状況ではなかった。

「しかたない、このまま帰るか。そんじゃ、貴音・・・今までありがとう。
 また会おうな!」

そう言って、響は貴音に抱きついた。

「・・・ええ。必ず、また会いましょう」

「うん、絶対にだぞ!」

名残惜しそうにしながらも、響と貴音は美希たちに気づかれない様に
その場を後にした。


事務所に戻った絆とやよいは、『優勝おめでとうパーティ』に
参加させられ既に数時間経っていた。

「ぷろでゅーさーさーん!本当におめでとうございますー!」

「あらあら~♪本当におめでたいわね~♪」

「……おい、誰だ。小鳥とあずさに酒飲ませたのは。ものすごく面倒くさい事に
 なるんだぞ」

「ま、まあ、今日くらいはいいんじゃない・・・かな?」

酔っている小鳥とあずさに絡まれて、絆はグッタリしていた。
そして、そんな絆を見て綾乃も笑うしかなかった。

「それにしても、美希の事はちょっと残念だったわね」

「すまないな、律子。あいつを連れて帰るって約束したのに」

申し訳なさそうにしている絆の頭を律子は軽く叩いた。

「こら、そんな顔しないの。まあ、その内戻ってくるって言ってたんでしょ?
 美希じゃないけど、のんびり待ちましょう」

「・・・そうだな。そういや、やよいは?」

「え~と・・・やよいちゃんなら、あそこ」

綾乃が指をさした先では、やよいが千早に捕まっていた。

「あ、あの~、千早さん?」

「ち、千早ちゃん?お酒入ってたりしてないんだよね~?」

「何を言ってるのよ、春香。未成年なのだから、そんなわけないでしょう」

と、言いつつもやよいから離れない千早。

「うう、酔ってない分余計にタチが悪いかも・・・」

「あう、千早さんが綾乃さんみたいです。あっ、伊織ちゃん!これ、ありがとう!」

やよいは借りていたウサギのぬいぐるみを伊織へと返した。

「この子、役に立ったかしら?」

「うん!すっごく!本当にありがとうね、伊織ちゃん!」

「べ、別に、このくらいでお礼を言われる事は無いわよ~、あはは~♪」

「いおりん、めっちゃ顔がニヤけてるよ」

「うんうん。よっぽど嬉しいんだね」

「うるさいわよそこっ!」

亜美と真美にからかわれたのが余程恥ずかしかったのか、伊織は真っ赤な顔で
怒っていた。

「やれやれだな。・・・あれ、社長は何処行ったんだ?綾乃、お前は見てないのか」

絆が辺りを見回したが、社長の姿は何所にも無かった。

「あれ、さっきまで居たのに何所に行ったのかしら」

「私も見てないわね。小鳥さんとあずささんは・・・」

「しらないで~す」

「みてないわ~♪」

「でしょうね・・・」

「仕方ない。飲み物とか少なくなってきたし、買いに行くついでにその辺を
 見てくるか」

絆は未だに絡んでくる小鳥とあずさを振り払い、買出しに行く事にした。

「あっ、私もついていきますー!」

ようやく千早から逃げ出せたやよいも絆についてきた。

「じゃあ、ちょっと行ってくる・・・なあ、真。雪歩はどうしてそんなに暗いんだ?」

絆は穴の中でシクシクと泣いている雪歩を指差して聞いた。

「えっと、あの貴音って子がすごく遠くに行っちゃったからだと。雪歩、また会えるって。
 元気だしなよー」

「うぅ~・・・四条さ~ん。突然すぎですですよぉ~・・・」

「まあ、その内元気が出ると思うんで。プロデューサーたちは買出しに行って
 きちゃってください」

「ああ、分かった。後はたのんだぞ、真」

「雪歩さ~ん!元気出してください~!」

「ごめんね、やよいちゃん・・・こんな私はひたすら埋まってますぅ~~!」

「うわっ!雪歩、これ以上掘ると下の人に迷惑だよー!」

少々不安であったが、とりあえず真に色々と任せて絆はやよいと共に
買出しに出かける事にした。

「やれやれ、だな。あいつら、俺たち以上にはしゃいでどうするんだよ」

と、言いつつも、絆も嬉しそうな表情だった。

「はう~・・・本当に優勝しちゃったんですね、私たち」

「本当にありがとうな、やよい」

「いえいえ、私は絆さんの言うとおりにしただけですよ。絆さんこそ、私の事を
 ず~っと信じてくれて嬉しいです~!」

(……やばい、このままあいつら無視してやよいとどっか行っちまおうかと思った)

だが、後で恐ろしい目に逢わされるのが予想できたので、絆は全力で我慢した。

「あれ?絆さん、あれって……」

やよいが指を指す先には小さな公園。そこに高木社長の姿があった。

「ん、もう一人誰か居るな・・・あれは黒井のおっさん」

絆とやよいは、二人に見つからない様に近くの草むらから様子を見る事にした。

「なあ、黒井よ。あの二人を見ただろう・・・ならば、もう答えは出ているはずだ。
 お前のやり方では・・・」

「うるさい、一度勝ったぐらいでいい気になるんじゃない。お前にはお前の
 やり方があるのだろうが、私はこのやり方を変える気はまったく無い!」

「……変わったな、お前は」

「ふん・・・そういうお前はあの頃の甘ちゃんのまま変わらんな。それに、
 音無小鳥。まったく、未練がましい奴だ・・・」

絆とやよいは黒井社長の口から出た意外な人物の名前に声を上げそうになった。

「なんで、黒井社長は小鳥さんの事知ってるんでしょうね」

「さあ、俺にも分からん・・・」

二人が色々と考えていると、黒井社長がいつもの偉そうな態度で高木社長に
こう告げた。

「高木、覚えておくがいい!私の手駒が『プロジェクト・フェアリー』だけだと
 思わない事だ!私が必ずお前らの様な甘い考えの集まりの765プロを
 叩き潰してやる!せいぜい、首を洗って待っている事だな・・・ハハハ、
 ハァーッハッハッハ!」

夜の公園に大きな高笑いを残して、黒井社長は夜の闇へと消えていった。

「ふう、やれやれ。ああいう所は昔から変わらんな……ん、そこに誰か居るのかね」

高木社長に気づかれたため、絆とやよいは申し訳なさそうに草むらから
出てきた。

「いや、悪い。なんか、出ていける感じじゃなかったんでな」

「盗み聞きしちゃってごめんなさい~」

「いやいや、別にかまわんよ。しかし、恥ずかしい所を見られてしまったね。
 はっはっは」

絆とやよいは、社長たち二人と小鳥がどんな関係なのか気になっていたが、
何となく『今は聞かない方が良いかな』と思いやめておいた。

「ところで君たちはどうしたのかね?宴会の主役が二人とも出てきたら
 盛り上がらんだろう」

「いや、社長の姿が見えないから、買出しついでに探しに来たんだよ」

「それはすまない事をしたね。どれ、買出しは私にまかせて、君たちは
 事務所に戻りなさい」

そう言って、社長は足早に公園を出ていってしまった。

「・・・行っちゃいましたね」

「うーん、人の事は言えないがウチのおっさんも謎が多い奴だよな」

その後、二人が事務所に戻ってからしばらくして高木社長が何事も無かった
様に戻ってきた。結局、絆もやよいも疑問に思っていた黒井社長との話を
聞く事はしなかった。


そして、1週間が経った……


やよいがIU優勝を決めたあの日からというもの、絆とやよいには様々な
メディアからの取材責めにあっていた。

そして、そんな日が続いた為、現在の二人はすっかり燃え尽きていた。

「はあ・・・」

「はう~・・・」

「あ・の・ね~!二人とも、もっとシャキッとしなさーい!!」

あまりにだらけている二人に律子のカミナリが落ちていた。

「そうは言ってもな・・・あれからずっと取材ばっかしなんだぜ」

「あう~・・・絆さ~ん。私、もっと歌ったりとかしたいです~」

そう言い、絆もやよいもソファーでぐったりと寄り添っていた。

「まったく、本当にしょうがない二人ね・・・」

「おやおや~、律っちゃん妬いてるのかな~?」

「兄ちゃんもやよいっちも相変わらずラブラブだからね~♪」

と、律子をからかった亜美と真美だが、ガッシリと顔面にアイアンクローを
決められていた。

「あー、律っちゃんイタイイタイ・・・」

「ちょ、律っちゃん、マジでイタイから。あの、律子さん?」

「おお、いつの間に俺の必殺技をマスターしたんだ」

「よかったらプロデューサーにもやってあげますよ♪」

ニッコリ笑顔ではあるが、凄まじい迫力を放つ律子。

「すいません、遠慮しておきます。・・・ん?綾乃は何か忙しそうだな」

絆はパタパタと事務所に出たり入ったりしている綾乃に声を掛けた。

「もう~、黒崎君はヒマそうでいいわね。私はね、おっきな目標ができたから、
 それに向けてがんばってるの」

「目標ってなんですか、綾乃さん」

「決まってるじゃない・・・来年は雪歩ちゃんと一緒にIUに出て、優勝するのよ!」

グッと拳を掲げて綾乃はそう宣言した。

「おお~!綾乃姉ちゃんカッコいいー!」

「なんか、燃えてる感じがするね!」

「黒崎君にばっかり良い格好させてられないもの。私だって、765プロの
 プロデューサーなんだからね」

「そっか……がんばれよ、綾乃。応援してるぜ」

「あ、あれ?黒崎君とやよいちゃんはもう出ないの?そこは『受けて立つぜ!』
 とか言う場面じゃないの?」

拍子抜けしてしまった綾乃が絆に抗議すると、絆は少し考えた後こう答えた。

「そうだな・・・もう一回優勝するのは楽な事じゃないし、それだけやよいにも
 負担を掛けちまう。今回みたいに辛そうなやよいを見るのは、ちょっとな・・・」

「絆さん、心配してくれてありがとうございます。でも、絆さんがいれば、私は全然
 辛くなんかないですよ♪」

「・・・俺はさ、やよいにはもっと楽しくしててほしいんだよ。誰かと勝負をするのは
 悪い事じゃないけどさ、そればっかりじゃ、いつか心が疲れちゃうと思うんだ。
 はは、ちょっと過保護かな」

「絆さん・・・そんなに私の事を心配してくれるなんて、すーっごく嬉しいですー!」

「……おかしいな、負けた訳じゃないのに負けた気がするよ」

「わあー!綾乃姉ちゃんがゆきぴょんみたいに穴を掘ろうとしてるよー!」

「綾乃姉ちゃん、はやまらないでー!」

「・・・だめだこのバカップル、早く何とかしないと」

二人の仲の良さに律子が呆れていると、そこへ高木社長が姿を見せた。

「おお、黒崎君に高槻君。こんな所に居たのかね」

「私と絆さんに何か用ですか?」

「なんだ、優勝記念に給料でも上げてくれるのか」

「い、いや、それはそれとして……律子君達も丁度よかった。私から少し話が
 あるから、他のみんなも呼んできてくれないかね」

「あ、はい。わかりました」

「じゃあ、私も雪歩ちゃんたちを呼んできますね」

「それでは頼んだよ」

そう言い、社長は一旦事務所から出て行ってしまった。

それからしばらくして。765プロの全員が集まる中、社長が話し始めた。

「さて、忙しい中集まってもらってすまないね。いくつか私から話があるので、
 申し訳ないが聞いてくれたまえ。まず、黒崎君と高槻君。改めてIU優勝
 おめでとう。君たちのおかげで、765プロはまだまだ安泰だよ。はっはっは」

「今更だな。そんなのよりボーナスでも出してくれよ」

「う・・・まあ、それはそれとして・・・」

「また逃げやがった」

「ご、ごほん。もうひとつの話だが・・・実は我が765プロに新しく仲間が
 増える事になった」

『おーー』

絆ややよいだけでなく、春香達もこの報せに驚いていた。

「実はもう連れてきていてね・・・入ってきなさい」

「はーい、だぞ」

「失礼します」

『・・・え?』

扉の向こうから聞こえてきた声を聞いた絆とやよいは、どこかで聞き覚えの
ある声に顔を見合わせていた。そして、入ってきた人物を見てさらに驚いた。

「ひ、響さん!?」

「それと貴音じゃねえか!?」

「いやー、久しぶりだぞ・・・あはは~」

「絆殿、やよい、またお会いできてとても嬉しいです」

入り口の扉から入ってきたのは、一週間前に別れたばかりの響と貴音だった。

「……響、お前、実家でまた何かやったな?」

「だ、だって・・・アニキが『やっぱりお前にはトップアイドルなんて無理だ』なんて
 言うもんだから、『なら、今度こそトップアイドルになるまで帰らないぞー!』
 って、言って出てきちゃって・・・」

「・・・お前、本物のバカだな」

「うがー!自分でもわかってるから言うなーー!!」

「あ、あはは。響さん、元気そうでよかったです」

「あなたも変わりない様で何よりです、やよい」

貴音がやよいの頭に手を置き声を掛けた。

「でも、貴音さん。たしか、すっごく遠くに行っちゃうって言ってませんでしたか?」

「それなのですが、次の場所に行くのには準備に大分時間が掛かるとじいやに
 言われまして。それならば、お世話になった恩返しも兼ねてこちらの
 事務所で何かできればと思いまして」

貴音が事情を説明していると、貴音の横に雪歩が駆け寄ってきた。

「四条さん!私、四条さんと同じ事務所になれてうれしいです!」

「ええ、これからよろしくお願いしますね、萩原雪歩」

「む~、雪歩ちゃんを取られた気分・・・」

「まあ、がんばれ」

頬を膨らましている綾乃を絆が適当に慰めていた。
そんな時、貴音がボソッと呟いた。

「・・・はあ。それにしても、『ろけっと』とは時間が掛かるものなのですね」

「……絆さん。貴音さん、今、なんて言いました」

「やよい、聞き間違いって事にしておけ・・・何かその方がいいと思う」

貴音の発言を聞き流した絆は、入り口のドアの所にまだ誰かが隠れているのに
気が付いた。

「ん?もう一人居るのか・・・」

「あっ……」

隠れていた人物は姿を見せるのを躊躇っている様であったが、絆に気づかれて
しまった事もあり、ようやく事務所の中に入ってきた。

「……えっと、ひさしぶり、なの」

姿を見せた女の子は茶髪でショートカットの女の子だった。そして、入ってくるなり
絆にそう言った。

「はい?俺、お前と会った事・・・ん?」

絆はその女の子をよ~く見てみた。そして……

「・・・もしかして、星井美希さんでいらっしゃいますか?」

「むー、そんな他人行儀にしたらヤなの、ハニー♪」

「は・・・はいーーー!?」

ガコンッ!!

『ええーーーー!!!』

これにはさすがの絆も後ろの壁に頭をぶつけるほど驚き、やよいや春香達も
驚愕していた。それもそのはず、長かった髪はバッサリと切られて短くなり、
金髪だった髪も染める前の色に戻っていたからである。

「わっ。ハニー、大丈夫なの?」

「き、絆さん!大丈夫ですか~!?」

「あ・・・ああ、痛さよりも驚きの方が勝ってるからな」

やよいに後頭部を擦られながらも、絆は美希の方へと向き直った。

「お前・・・どうしてこうなった?」

「えっとね、また765プロでゼロからがんばろうと思って丸坊主・・・は、
 さすがにムリだったからこうしたの。あとね、一回やってみたかったの。
 『失恋したら髪を切る』っていうの、あはは☆」

「いや、自分らも再会した時はすごく驚いたぞ」

「ええ。でも、それだけこの765プロは美希の戻りたい場所なのでしょうね」

響と貴音の言葉を聞いて、絆は美希の頭に手を置いた。

「・・・割と似合ってるじゃねえか」

「えへへ、ありがとなの♪それじゃあ、新しいミキの事好きになりそう?」

「何でそうなるんだよ。お前、俺の事諦めたんじゃないのかよ」

「うーん、一回はね。でも、やっぱり諦めきれないの~♪」

と、美希が絆に抱きつこうとするが、すかさずやよいが間に入ってきた。

「だ、だめですー!絆さんは・・・その・・・わ、私の絆さんですーー!!」

どんがらがっしゃーん!!!

やよいがそう言った瞬間、絆は律子、真、響からの連続攻撃を受けて
吹っ飛んでいた。

「お、おい・・・何しやがる・・・」

「いや、とりあえず殴っておかないといけないと思って」

「みんなが『殴ってこい!』的なオーラを出してたんでつい・・・」

「謝れ!なんだかわからないけど色んな人に謝れー!!」

絆が追い討ち攻撃を受けている横で、美希の所に春香と千早が駆け寄っていた。

「あ・・・春香、千早さん。その~・・・」

「もう~!すごく心配したんだからね~!」

春香は涙をボロボロ流しながら美希に抱きついていた。

「あ・・・う・・・ごめんね、春香」

「うえ~ん!おかえり~!みき~!」

「そうね・・・おかえりなさい、美希。もう心配させないでね」

千早も笑顔で美希が戻ってきた事を喜んでいた。そんな二人を見て、
美希まで泣きそうな顔になっていた。

「う・・・千早さんも、ごめん、なさい。あと、ただいま、なの♪」

「わーい!ミキミキが戻ってきたー!」

「こんなにうれしい事はないよー!」

そして、気が付くと美希はすっかり他のみんなに囲まれていた。
その様子を離れて見ていた響と貴音も嬉しそうな笑顔だった。

「なんかさ、こういうのっていいな!」

「そうですね。これが『仲間』というものなのですね」

「何言ってんだよ。これからはお前らもその一員だ、覚悟しておけよ」

「あ・・・おう!まかせてくれ!」

「はい。これから、よろしくお願い致します」

「なんだか、『いっけんらくちゃく』って感じでよかったですね、絆さん♪」

やよいにそう言われて頷きかけた絆だが、そこである事を思い出していた。

「そうだ、すっかり忘れてたぜ。なあ、社長。事務所をでかい所に移す話は
 どうなってるんだ?」

「ギクッ」

絆にそう聞かれた社長は、あからさまに分かる様な動揺の仕方をしていた。
そして、何故か響と貴音も居心地が悪そうにそわそわしていた。

「さすがに美希も戻ってきて、二人増えたんだぜ。前のビルとは言わないけど
 少し大きい所にしないとここじゃ狭くないか」

「あれ?響さんと貴音さん、どうしたんですか?」

「あー、いやー・・・」

「え、えっとですね・・・」

「二人とも、私が話すから構わないよ。黒崎君と高槻君に頑張ってもらった
 のに申し訳ないんだが・・・当分、事務所はこのままなんだよ」

……10秒ほどの沈黙。

「・・・伊織~、人間一人海に沈めるのってどの位手間掛かる~?」

「ちょっ!ちょっと待ってくれたまえ!ちゃんとした理由があるんだよ!」

「そ、そうだぞ!待ってあげてほしいぞー!」

「ええ、その理由は私達にあるのですから・・・」

響と貴音が申し訳なさそうにしてる中、高木社長が事情を説明し始めた。

「我那覇君と四条君の二人が961プロが用意した部屋に住んでいたのは
 知っているね」

「ああ、そういえばそんな事言ってたな」

「まあ、961プロをクビになってしまった時点で、彼女達はその部屋から
 追い出されてしまってね」

「まあ、最初はこっちに戻る予定は無かったんだけど、戻ってくる事に
 なっちゃったからな」

「それで、たまたま空港で再開した響と困っていた所、高木殿に声を掛けて
 いただいたのです」

絆はそこまでの話を聞いて、話の結末が読めてしまっていた。

「……つまり、今回の賞金は響と貴音の新しい部屋やらに消えたと?」

「・・・はっはっは、そういう事だね」

「ははは・・・なんか、ごめんだぞ」

「その、こちらで働いて必ずお返ししますので」

社長も響も貴音も本当に申し訳なさそうにしていたが、やよいはいつもの
笑顔でこう答えた。

「響さんも貴音さんも、新しいおうちが見つかってよかったです~!
 だって、これで何の心配も無くいっしょにがんばれますよね!」

「うう~!やよい~!お前、いい奴すぎるぞ~~!!」

「本当にあなたのやさしさと笑顔には敵いませんね・・・うふふっ♪」

「まあ、そういう訳で・・・すまないね、黒崎君・・・」

「……は、ははははっ!や、やばい!ツボに入った!!あはははっ!!」

突然、絆が腹を抱え、膝を叩いて笑い出したので他のみんなは呆気に
取られて一歩引いてしまった。

「・・・ついに黒埼君に限界が」

「惜しい人を亡くしたわね・・・」

と、目頭を押さえる綾乃と律子。

「あーあ、社長が無理させ続けるから壊れちゃったじゃない。しーらないっと」

「水瀬くん!?私のせいなのかね!?」

「わー!絆さんしっかりしてくださいー!」

「あはは・・・だ、大丈夫だ。いや、こんなに笑ったの何年ぶりだろうな、はははっ」

笑いすぎで咳き込んでいる絆だが、ようやく呼吸を整えて普通にしゃべれる様に
なった。

「絆さん、何がそんなにおかしかったんですか?」

「なんつーかさ、俺たち『765プロらしい』オチだなと思ってさ。そしたら、
 やばいくらいに笑えてきてな。あー、笑った笑った」

ひとしきり笑い終わった絆は、立ち上がると美希と響と貴音をビシッと
指差した。

「そこの出戻りと新入り二人!お前らにはこれから馬車馬の如く働いて
 もらうからな!覚悟しろよ!」

「望むところだぞ!自分、今度こそトップアイドルになってやるんだからな!」

「絆殿ややよいに頂いた沢山のモノを、少しでもお返しできるように精進致します」

「ミキもがんばるの!それで、今度こそハニーをミキの物にしちゃうのー!」

三人のやる気あふれる返事を聞いた絆は、今度はやよいの方を向いた。

「よし、やよい。でっかいライブのひとつでもやるぞ。お前がどんだけすごい
 アイドルなのか、もっと色んな人に見せ付けてやろうぜ」

「はい!私、いっぱいがんばりまーす!だから、絆さんもちゃんとついてきて
 くださいね!それじゃあ・・・いつもの!」

「おう!」

やよいが手を上げるのと同時に絆も手を向ける。
そして……

『ハイターッチ!!いえい!!』

絆とやよいの手と手が気持ちのいい音を上げ、新たな765プロのスタートを
祝福しているようだった。

「よーし、お前ら!とりあえず……このボロ事務所から脱出するぞー!」

『おーー!!!』

そして、765プロの当面の目標は『現在の事務所脱出』になったという。

……

…………

………………


「ふふっ♪『めでたしめでたし』でよかったわ♪……あら?いつの間にかFAXが
 届いてたみたいね。どれどれっと・・・」

絆とやよい達がこれからの事で盛り上がってる中、小鳥は届いたばかりの
FAXの書類に目を通していた。

そこにはこう書いてあった。


       『この度、IU大賞とは別の新たなアイドルの祭典を
        開催する事をお知らせいたします。
        日本だけでなく、世界も注目する事になる
        その祭典の名前は IA(アイドルアカデミー)大賞です。

        765プロの皆さんのご参加をお待ちしております。

                            IA大賞 運営委員会』


「・・・わあ、大変。社長ー!プロデューサーさーん!みんなー!」


おしまい。

でも、絆とやよい、765プロのストーリーは・・・まだまだつづく。

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お疲れさまでした!

やっぱりラブラブな絆さんとやよいが見れてほっこりしましたw 二人には末永く幸せに過ごしてもらいたいものです
あ!美希にも頑張ってほしいですw

後は、戻ってきた美希を出迎える春香と千早もなんか良かったです!

さて、IAってことは次は木星も見られるのでしょうか?w

それじゃあ。。
【 2012/04/15 】 編集
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