春屋

こちらはゲーム「THE IDOLM@STER」「東方project」を応援しているサイトです。管理人のプレイ日記や、SSが置いてあります。
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ある日の日常5.8

こちらは春屋が出来た頃に書いた『アイドルマスター』のSSです。
オリジナルなPが出たりしていますので少しご注意を。

やよいとPが中心のお話です。

このSSは一番最初の『アイドルマスター』のコミュを元に作られています。




                           PM 7:00 高槻家

「……なんでこんな事になったんだ」

俺は今、ウチの事務所のアイドル「高槻やよい」の家の前にいる。
ちなみに俺は765プロのプロデューサーだ。

「プロデューサー!狭いですけど、どうぞ入ってくださ~い!」

やよいが遠くで大きな声を出して俺の事を呼んでいる。
俺はでっかいため息を一つしながら車を降りた。
さて、なんで俺が仕事でもないのにやよいの家に来る事になったのか。

さかのぼる事3時間ぐらい前……

                  PM 4:00 765プロ 事務所

「ふう、やっと今日の仕事が終わったぜ」

今日の仕事を終えた俺は、自分のデスクに座って帰る準備をしていた。
そんな所に、ウチの事務所で一番売れているアイドルが丁度帰ってきた。

「あ、プロデューサーさん。いま帰るところなんですか?」

「よう、地味なのにめっちゃ売れてるアイドルの春香じゃないか」

「プロデューサーさ~ん!ひどいですよ~~!」

と、むくれて俺をポカポカ叩いてくるのが「天海春香」。こんな奴だが、
今じゃTVのレギュラーもいっぱい抱えるトップアイドルなのである。
俺から見れば、まだまだ子供なんだがな……。

「冗談だ、そんなに怒るなって。え~っと……かわいい顔が台無しだぞ?」

「え、えー!!そんな~、かわいいだなんて!うわ~うわ~!」

……こんな奴だが、一応は高校生でトップアイドルである。
信じられないけどな。俺と春香がそんなバカなやりとりをしていると、
向こうから・・・

「メガネな奴が歩いてきた」

スパーーーーーン!!!

どこから用意したのか、でっかいハリセン思いっきり殴られてしまった。

「……痛いぞ~律子~」

「言う事はそれだけか!メガネしか特徴がない様な言い回ししおって!」

俺の目の前で腕を組んで俺をにらみ付けてるのは「秋月律子」。
765プロの経理、事務、アイドル。その上、最近ではプロデューサーの
仕事にも手を出しているちょっとすごい奴なのである。そのせいか、
「プロデューサーとしての技術を盗む!」とか言ってよく観察されたりする。
あれは一歩間違えればストーカーだ……。

「で、律子様は俺に何か御用でもおありですか?」

「なんか引っかかるけど、まあいいわ。二人にちょっと相談があって
きたのよ」

「どうしたんですか律子さん?何か、大変な事でも」

春香がさっきとはうってかわって心配そうにしている。ウチの事務所の場合、
他のメンバー同士が普段から仲が良いだけに、春香は心配でしょうがない
様子だ。

「あ?……私の事じゃないんだけどね。やよいの事なんだけど」

「ん?やよいがどうかしたのか律子?」

やよいは今、律子と亜美(亜美には双子の妹の真美がいて、二人で
入れ替わりながらアイドルをやっている。ちなみにこの事は内緒だ。)
と一緒のユニット組んでいる。

「仕事で何か問題でもあったのか?」

俺は、ユニットの事で何かあったのかと思って律子に訊ねたが首を振った。

「う?ん、まあ、本人から聞くのが一番かな……やよい、説明してあげて」

律子がそう言うと、何時から居たのかやよいが顔を出した。

「え~っと……実は……今日、家にひとりぼっちなんです」

「あれ?お父さんとお母さんと弟妹は?」

やよいの家庭はたしか、父親(職を転々とする)、母親、妹が一人と
弟が三人なはずなんだが?

「えっとですね、お父さんとお母さんは親戚のおばあちゃんが具合が良く
ないらしくて、そのお見舞いに行く事になったんです。弟達は家に残る予定
だったんですが、お母さんが私の仕事の差し支えになったらと言って連れて
行ったんです」

なるほど、確かに収入が未だに不安定な父親に代わって一家の大黒柱である
やよいを思って、やよいのお袋さんが気を利かせたのか。 

「ん?で、やよいが家に一人だと、何か困った事でもあるのか?」

いくら何でも、一人で留守番が出来ない年齢でもないだろし。
……まあ、俺から見るとお子様にしか見えないんだけどな。

「それなのよ。ほら、最近はいろいろと物騒でしょ。だからね、二人のどちらか
でもいいから、今日だけやよいの家に行ってほしいのよ」

「……ちょっとまて、何で俺達だけなんだよ。他の奴やお前はどうなんだ律子」

「うーん、私が行ってあげたいんだけど、今日は家のお店の棚卸なのよ。
それで、私も帰ってそれの手伝いなの」

「え~!律子さん!帰ってからもお店の手伝いなんかして大丈夫
なんですか!」

春香がびっくりしているのも分かる気がする。一体、いつ休んでいるんだ
こいつは……

「大丈夫よ、力仕事は男共に任せるし。私は、伝票見ながら在庫をチェック
する係なの。それくらいだったら、そんなに疲れないし平気よ」

「まあ、それなら仕方ないが……他の奴は?」

そう聞くと、律子はメモを取り出してペラペラめくり始めた。

「えーっと……千早と真とあずささんは、ロケで帰ってくるのは明日の朝に
なるみたい。亜美と真美は、小学生なんで却下。伊織はお兄さんが
帰ってくるとかで、自分がアイドルとしての売れた事を自慢するって言ってた。
雪歩はお父さんが絶対に許してくれないって」

「うーむ……あ、小鳥とかは」

「残念、小鳥さんにも聞いたんだけど、今日はもう予定入れちゃってたんだって」

「あとは……社長は……いいや」

「うん、そうね」

「あの~、二人とも社長の扱いがひどい様な……」

春香が何か言った様な気がするが、そんな事はさておき……どうするかな。
俺はふと春香を見てみたが、春香はここからかなり遠い場所に住んでるから
無理だな。春香の両親も心配するだろうし。

「あの~、いいですよみなさん。むりしなくっても~」

やよいがパタパタ手を振りながらこう言ってくれるが。
そんな時、律子が俺を見ながらメガネを光らせた。

「……プロデューサー、あんたは暇じゃないの?」

「ん?まあ、暇だが……って!まさか、おまえ!」

律子はやよいの肩の手を置いて、とんでもない事を言い出した。

「よかったわね~、やよい。プロデューサーが暇だから、やよいの家に
行ってくれるって」

「おいおいおい!ちょっとまて……」

「ほんとうですか♪わーい、プロデューサーがいてくれるなら心強いです!」

あれ……俺は無視の方向ですか。社長扱いですか。
そんな俺に気が付かず、やよいは大喜びしている。ところが・・・

「だだだ、だめですよ、そんなの!だって、プロデューサーさんだって
男の人ですし!そんなのだめです~!」

春香がいきなり顔を真っ赤にしながら騒ぎ始めた。いきなりどうしたんだ、
こいつは?

「だいじょうぶよ。プロデューサー、やよいを見てどう思う?」

「は?……ん~~~……」

改めてやよいを見てみる。……う~ん、最近の中学生にしたらとにかく
ちっこい。よく食べてるはずなんだが、その栄養はどこに消えてるんだか。
しばらくの思考の後、導き出された答えは・・・。

「うん、激ちびっこ」

「あう、プ、プロデュ~サ~……」

やよいがちょっとガックリしてしまった。なんか、変な事言ったかな?

「ね、だいじょうぶでしょ春香」

「……ですね。ほっ」

春香は春香で、何故かほっとしている。う~ん、今の女の子の気持ちは
わからん。……って、おっさんみたいな事言ってる俺だが、まだ二十歳だ。

「じゃあ、プロデューサー。まかせていいわね?」

「なんだかわからんが、仕方ねえな……わかったよ、責任もって子守りします」

「ほんとうにいいんですか?迷惑じゃないですか……」

めずらしくやよいが控えめに聞いてきたので、頭をわしわし撫でてやりながら

「気にするな。これもプロデューサーの仕事だ……と、思う」

「はい!ありがとうございます~!プロデューサー、ハイターーッチ!」

これはやよいのクセ……というか、まあ元気の出るおまじないみたいなものだ。
俺もノリが良いので、ハイタッチを返してやる。やれやれ、手の掛かる奴らの
多いアイドル事務所だな、ここって。

「そうそう、プロデューサー」

「なんだ、まだ何かあるのか律子?」

「……手を出したら犯罪だからね」

                     PM 7:30 高槻家

「あいつはいつか雪歩の掘った穴に埋める……」

俺は、高槻家の居間でお茶をすすりながらつぶやいてしまった。
あいつは何考えてんだ……俺にはそんな趣味は無いってーの。

「プロデューサー?どうしたんですか、こわい顔して」

「ん……いや、なんでもない」

む、俺はそんな顔してたのか?そうだな、やよいを怖がらせるのも
可哀相だしな。そういや、もうこんな時間なんだな……。

「やよい、お腹空いたろ。何か作ってやるけど、何がいい?」

「ええっ!いいですよ、私が作ります。プロデューサーにはいつもお世話に
なってますし」

「なら、二人で作るか。その方が早く出来るだろうしな」

「ん~……わかりました!じゃあ、ちょっとまっててください。
準備してきますんで~♪」

そう言って、やよいはトタトタ自分の部屋に行ってしまった。
料理するのに何か準備がいるのだろうか?

五分後……

「おまたせしました、プロデューサー」

「やよい、何を準備してたんだ……って、なんだ、その格好は……」

やよいは、何故か体操服にエプロンという、ものすごく一部のマニアに受け
そうな服装をしていた。俺はなんとなく誰かがいらん入れ知恵をしたの
だろうと思い聞いてみた。

「あ~……やよい。誰がそんな格好しろって言ってた?」

「え?律子さんが、プロデューサーが喜ぶからって」

あのメガネ……マジで覚えておけよ。次のTVでの衣装、めちゃくちゃ恥かしい
格好させてやる。クチバシとか、クチバシとか。そうだ、そんな事より。

「さっさと元の服装に戻してきなさい……」

「あ、はーい。……おかしいな~?律子さんの言う通りにしたのに、
プロデューサー怒ってる様な?」

やよいはまた着替えに部屋に戻っていった。
その時、外の茂みに人の気配を感じた。

「……泥棒か?いや、電気は点いてるし、この家に盗る様な物は……
悲しいけど無いな」

そういえば、少しだけだがなんか赤い帽子が見えた様な……って事は。

「プロデューサー、着替えてきました~……あれ、お出かけですか?」

「ああ、ちょっとな。すぐ戻る」

そう言って、俺は高槻家を出た。

……高槻家 居間

「プロデューサー、どこに行ったのかな?……うう、今さらだけど二人っきりって
ちょっとドキドキ。わ~!どうしよう、急に恥かしくなってきたかも~!」

ドカッ!ガッ!ガッ!ガッ!……ズルズル、ドサッ!

「あう……い、今の音、何だろう。まさか、幽霊かな?……うう~
プロデューサー、早く帰ってきてください~」

ガラガラッ

「ひゃう!」

「ん?どうした、やよい。何かあったのか」

俺が外から帰ってくると、何故かやよいが座布団を頭にうずくまってた。

「プロデューサー!さっき、変な音が~……こわかったです~」

やよいが半ベソかきながら俺にひっついてきた。そんな音したっけな……
変な音?ん、もしかして。

「ああ、ごめんやよい。それ、多分俺だ。悪いな、怖い思いさせて」

そう言ってやよいの頭をなでながら謝った。うーん、端から見たら
親子に間違われそうでいやな光景かも。

「さて、さっさと晩飯作るか。俺も腹が減ったし」

「はい!私も、お腹ペコペコです~!」

やれやれ、さっきまで泣きそうな顔してたのにもう笑ってら。
まあ、そこがこいつのいい所なんだけどな。

「そういえば、どこに行ってたんですかプロデューサー?」

「えーっと……ちょっと、でっかい蚊を退治にな……」

「???」

                  PM 8:00 高槻家 台所

「さてと、結構多めに作っちゃったな」

「そうですね……食べ切れるかな?」

二人で作っている時に、やよいに「わー♪プロデューサー、すっごく料理
上手ですー♪」などと言われ、つい調子に乗って作りすぎてしまった……
ちなみに俺が作ったのはロールキャベツ、アスパラとベーコンの
ケチャップ炒め、デザートにリンゴのパイ。やよいが作ったのは
豆腐と油揚げの味噌汁、玉子焼き、あとご飯を炊いたのもやよいだ。
うーん、方向性が逆過ぎる様な気がするが、気にしない事にした。
ついでに言うと、材料は俺が買ってきた物だ。
まあ、この家の事情を知ってるだけにこれくらいは……な。

「さて、居間に運ぶか。無理しない程度に運んでこいよ、やよい」

「はい!気をつけます~!」

二人で料理を運んで、テーブルに並べる。こうすると、やっぱり多く見える。
ま、余ったら取って置いて、高槻家の面々に食べてもらうとしよう。

「じゃあ……いただきます」

「いただきまーす!」

俺はやよいの作った玉子焼きを口に運んでみた。ん、うまい。
普段、甘い玉子焼きはそんなに食べないんだが、これはうまいと思った。
ふと気が付くと、やよいが俺を凝視していた。

「なんだ?俺に何か付いてるのか?」

「あ、いえ!……じー」

ああ。うまいかどうかが気になるのか。これは言うまで凝視され
続けそうだな。さすがにそれはメシが食いづらいのもあって、
正直に答える事にした。

「うまいぞ、これ。そんなに甘すぎないし、丁度いい」

「わわ!本当ですか~!うれしいです~♪」

「ははは。いいから、さっさと食べちゃえよ」

そういえば、こんな風に食事したのどれ位ぶりだったかな。
早くに家族亡くしちまったから、こんなの久しぶりかも。

「どうかしました、プロデューサー?」

「ん……なんでもない。俺が作ったのはどうだ?」

俺は、自分が作った物の感想が聞きたくて、やよいに聞いてみた。

「はい!す~っごく、おいしいです!毎日でもご飯作って欲しいかも~!」

「……そういう発言は、あんまり他の人がいる時にはするなよ。
色々、誤解されるからな」

「え?どんな誤解なんですか~?」

うっ、こいつは本当にこういう事には無頓着だな。そういえば、前に
恋愛ドラマは見ないって言ってたな。さて、どうするか。困ったな、
どう答えればいいんだ……お、いい所に俺を助けてくれるアイテムが。

「やよい、テレビ点けてもいいか?」

「あ、はい。どうぞ、プロデューサー」

そう言って、やよいがテレビのリモコンを渡してくれる。これでうまく
話題が逸らせるはずだ。そう思って、俺はリモコンのONのボタンを押した。

「ああ……愛してるよ、エミリー」

「私もよ、アンソニー……」

ピッ!

「さあ!僕の愛を受け取ってくれ!マイハニー!!」

「ええ!受け取るわー!ジョニー!」

ピッ!!

「フォーーーー!!」

ピッ!!!!

「……ロクなのがやってないな。ははは……」

って、最後のはこんな時間に流していいのかよ……

「プロデューサー……さっきのは」

まずい。ちょっと気まずい……。うう、次はまともな番組やって
ますように!

ピッ!

「さて、次に歌っていただくのは、秋月律子、双海亜美、高槻やよいに
よる3人のユニットの登場です!曲名は……『魔法をかけて!』です!」

あれ?これって、この前収録した番組だ。よかった、まともな番組が
やっていて。

「わわ!プ、プロデューサー、チャンネル変えましょう!」

「な、なんだよ、いきなり!どうしたんだ、やよい」

やよいが俺からテレビのリモコンを取ろうとするので、俺は立ち上がり
手を上に伸ばして阻止した。ちなみに俺の身長180ちょっとで、
やよいの身長は145cm。まあ、届かないな……。

「だって~、恥かしいですよやっぱり~!」

「おいおい。収録中、近くで見てたじゃないか俺」

「う……まあ、そうですけど」

リモコンを取るのを諦めたのか、やよいは元の場所に座った。

「私……律子さんみたいにかわいくとか、亜美や真美みたいに元気いっぱいに
できてるかちょっと自身無くって……」

なるほど……そんな事を気にしてたのか。しょうがない奴だな。

「あのな、やよい。別に、お前は律子みたいとか、亜美や真美みたいに
しなくっていいんだぞ。」

「でもでも……」

「話を聞け。いいか、お前が律子みたいとか亜美と真美みたいにしたって、
それはただの『コピー』だ。そんなのはファン達はみたくないと思うぞ。
だって、本物の方がいいに決まってるんだからな」

やよいは黙って聞いている。それも、かなり真剣に。

「お前のファンのみんなは、「高槻やよい」を見たいからファンになったんだ。
誰かのマネをしてる奴じゃない、お前自身が好きだからファンになったんだ。
だから、お前がそんな風にしていたらファンのみんなに申し訳ないぞ。
わかったか?」

そう言って俺はやよいの頭を撫でてやった。すると・・・

「プロデューサー……うっう~!今のお話、感動しました!そうですね、私、
がんばります!ファンのみんなが、い~っぱい喜んでくれる様に私自身として
やってみます~!」

両手をブンブン振りながら、やよいはそう言ってくれた。
よかった、元気が出てくれて。社長、昔あんたに言われた事が
役に立ったぜ。感謝するよ……。

「ほら、まだメシが残ってるぞ。早く食べちまおうぜ」

「はーい!……プロデューサーは、私の事どう思いますか?」

「あ?唐突だな……。そうだな、最初に会った時はすっごい元気のある
奴って思ったぞ」

「それだけですか?やっぱり、元気がいいだけですか?」

「いや。こっちも、その元気をもらってる時があって、助かる時がある。
 それは俺だけじゃなくって、律子や亜美、真美。春香達や事務所の
 みんなだってそう思ってるはずだ」

「そ、そこまで言われると、照れます~」

「まあ、お前のそういう所、俺は結構好きだぞ」

「はわっ!!!」

いきなり、やよいが変な声を出して顔を真っ赤にしながら固まってしまった。
あれ?俺、変な事言ったかな。……そういえば、律子にこんな事を言われた
事があった様な。

              『無意識に女を落とす様な台詞禁止!』

そんな事、俺は言ったのかな?うーむ、女心はわからん……。
この後、やよいの奴は妙に落ち着きない感じで食事をしていた。
 
                PM 8:45 高槻家 風呂場

「ふう~……」

俺はやよいのご好意で風呂を借りる事にした。いつの間にかやよいが
風呂を沸かしてくれていたので、すぐに入れる事になった。

「なんだかんだで、さすがに疲れた。……よく考えたら、仕事終わって
すぐここに来たんだもんな、俺」

手足が伸ばせる……程大きくはないが、ゆっくりと湯に浸かろうと思った。

「お湯加減どうですか?熱かったりしませんか、プロデューサー?」

「ああ、大丈夫だ。ありがとう、やよい」

「えっと……よかったらなんですけど~」

「背中は流さんでいいからな!」

………………1分間の沈黙。

「なっ、なんでわかったんですか?」

さっきの料理の時といい、予想は付く。しかし誰だ、こんなくだらない事
やよいに吹き込んだ奴は。

「やよい。怒らないから、誰がそんな事しろって言ってた?」

「え……えっと。さっき、あずささんと伊織ちゃんとメールしてたんですけど。
その時に、あずささんが『そういう時は、お背中流します攻撃よ~』って。
伊織ちゃんは『そういう事してあげたら、プロデューサーが鼻の下伸ばして
喜ぶわよ♪』って返信が来て……」

あいつら……マジ許さんぞ。誰もいないデパートの屋上で歌わせてやろうか。
まったく、本当に暇な奴ばっかだな。

「いいから、やよいも向こうで休んでろ。それに、明日は学校だろ」

「あっ!いけない!宿題忘れる所でした~!それじゃあ、プロデューサーは
ごゆっくりどうぞ~」

トタトタと足音が遠のいていくのを聞いた後、俺は深いため息をついた。
なんか知らんが、とにかく疲れた……

                   PM 9:30 高槻家 居間

風呂から上がった俺は、明日のスケジュールを確認しながらテレビでニュース
番組を見ていた。やよいは入れ替わりで風呂に入っている。ちなみに、
その時もくだらない台詞を言いそうだったので、すかさず『誰の差し金だ、
やよい?』と言ってみたら、正直に『ま、真さんです……』と白状してくれた。
それにより、今度のイベントの時に真には学ランでも着てもらう事が
俺の脳内で決定された。

「一体、あいつらは何がしたいんだよ……」

ニュースでは、明らかにヅラであるのがバレバレなキャスターが株式情報を
伝えている。『うーん、あの会社はもうだめだな』なんてツッコミをテレビに
入れていたら、やよいが風呂から上がってきた。

「はふ~。ちょっと、長く入りすぎちゃいました」

やよいは、ちょっとだるそうにしながら扇風機の前にちょこんと座った。
気持ちよさそうに風に当たってるやよいを見ながら、まるで何かの小動物みたい
だなとか考えていた。そういえば、髪を解いているやよいを見るのは初めてかも
しれない。ちょっとクセっ毛な髪が、風に煽られてパタパタしてるのを
何となく見つめていた。

「ん?プロデューサー、どうかしましたか。あ、髪に何かついてますか?」

「あっ、いや……何でもない。そんな事してると、風邪引くぞ」

「は~い。ちゃんと、乾かしてから寝ま~す」

「それならいいんだ。……何やってんだ、俺?」

急にさっきまでの自分がものすごく恥かしくなってきてしまった。
何であんなチビッコに見とれてしまったんだ、自分よ。まったく、不覚……

「プロデューサー?顔が赤いですけど、大丈夫ですか?」

「な!うわっ!」

やよいがいきなり俺の顔を覗き込むようにしてきたので、驚いた俺は
真後ろに倒れて……

ゴンッッッッ!!!

「~~~~~~!!!!」

激しく、後ろにあったタンスに後頭部を強打。

「わわわ!だいじょうぶですか!ものすごい音がしたんですけど」

「あ……ああ。だい、大丈夫だ……」

本当に、俺は何やってんだか。あいつらの事、これではバカに出来ない。

一時間後……

俺はスケジュールの確認も終えて、テレビを見ているのだが……

「おい、やよい。眠いなら、もう寝てもいいぞ」

さっきから、やよいは眠そうな顔で、コックリコックリしていた。

「んにゅ……プロデューサーはどうしますか?」

半分、寝ている様な状態で俺に聞いてきた。これは、俺が寝るまで起きてる
つもりらしい。仕方ない、たまには早寝するか。

「ああ、そろそろ寝るぞ。俺は居間でいいから、お前は隣の部屋に行って
寝てろ」

「は?い……じゃあ、おやすみなさ?い……」

やよいはちょっとフラフラしながらも、隣の部屋へ歩いていった。

「さてと……俺も寝るか」

俺は上着をやよいが用意してくれたハンガーに掛け、同じくやよいが用意して
くれた布団と枕を敷いて電気を消し横になった。

リーリーリーリーリー……

俺は寝れるかどうか多少不安だったが、鈴虫の合唱を聞いている内に
意外と早く眠りに落ちた。

………………
…………………………
………………………………………
………ボフッ…………………ゴソゴソ……………………………………

(ん……何かいる様な……気の…せいか……)

                    AM 7:30 高槻家 居間

(……もう朝か?それにしては騒がしい様な気がするんだが。)

そう思って目を開けると、何故か俺は、謎の集団に囲まれていた。

「ああ?誰だ……お前ら……」

「……寝ぼけてないで起きんかー!!!」

スパーーーーーーーン!!!

怒鳴られた挙句、スリッパで頭を殴られた。あれ、昨日もこんな事が
あったような気が……って!

「なんでお前がいるんだ、律子!」

俺を殴った張本人、律子がスリッパ片手に仁王立ちで俺を睨んでいる。
というか何故ここにいる。ついでに周りをよく見てみると、俺を囲んで
いたのは春香や千早達だった。……なんでお前らまでいる?

「え~っと……どこから質問していいか分からないんだが」

「じゃあ、こっちから質問するわね。それはどういう事なのかしら、
プロデューサー……」

ビシッ!と、指を差された方を見てみるとそこには・・・

「くー…くー」

どういう訳かやよいが俺の隣で寝息を立てていた。何でここに居るんだよ、
隣の部屋に居たんじゃなかったのか?

「……なんで、こいつココに寝てるんだ?」

「ほ~う。言い残すのはそんな言葉でいいの、被告人さん」

……おいおい、どうやら俺は既に犯罪者らしい。一応、この台詞は
言うべきなんだろうか?

「えーっと、俺は無実だ」

「……この期に及んでそんな台詞を言うとはね~……」

あ、まずい。言わなきゃよかった。そう思った時には遅かった。

「取り押さえろー!逃がすなー!」

その合図と共に、俺を囲んでいたみんなが襲ってきた。

「兄ちゃん!しんみょうにおなわにつけー!」

「ごようだ~ごようだ~!」

「亜美!真美!お前ら絶対遊んでるだろ!おい、春香に千早!お前らなら
助けてくれるよな?」

救いの手を二人に伸ばしてみたが、その手は取ってもらえなかった。

「プロデューサーさん……がんばって罪を償ってください~」

「えっと、私も春香と同じです。まあ、残念ですが……」

うう……そんな目で俺を見るなって。まだだ、まだ諦めないぞ。

「雪歩、お前なら俺を信じてくれるよな!」

「あう……そ、それは……」

「だめよ雪歩。そこで情けを掛けたら、このど変態が調子に乗る
だけなんだから」

「伊織!お前な~……なあ、あずさ。楽しそうにしてるのは何故だ?」

「え~と、男の人を縛り上げるなんて、ちょっとドキドキしませんか~?」

「……俺にそんな趣味はない。痛って!真、お前手加減しろよ!」

「あっ、すいません。でも、律子から容赦なしでいいって言われたんで」

どいつもこいつも……そうだ、こいつがまだいた!

「お、おい!やよいを起こせよ!それで俺が何にもしてないって
分かるはずだ!」

俺がそう叫ぶと、みんながピタッと動きを止めた。

「それもそうね。被害者からも、事情聴取しないとね」

こいつは……まだ俺を犯人扱いかよ。律子が手の空いている伊織に
やよいを起こす様に指示した。

「ちょっと、起きなさいよやよい!まったく、これだけ騒いでるのに
起きないのも、ちょっとすごいわね。おーきーろー!」

頼む、お前が起きてくれないと俺は犯罪者だ……。

「う…ん、あれ?なんで伊織ちゃんがいるの~?」

「はいはい、起きた起きた」

そう言って、やよいのほっぺをペチペチ叩く伊織。やっと起きたのか、
周りの状況を見て驚いている。まあ、当然なんだが。

「わわ!プロデューサーが大変な事になってます!それにみなさんも
なんで家に?」

「いい、やよい。これから何事も包み隠さず、正直に話してもらえる?」

律子がやよいの両肩に手を置いて、これまでの事情を話し始めた。

「……って、事なんだけど。どうなの、やよい」

「ご、ごめんなさい!プロデューサー!」

と、いきなり頭を下げて、やよいは俺に謝ってきた。

「あのですね、昨日の夜、お手洗いに行った時に寝ぼけちゃったんだと
思うんです。私、いつも弟達と寝てるんで、誰かが寝てる方へ
つい……」

なるほど。それで俺の隣に入り込んでたのか。……さて、誤解も
解けた事だし。

「な~んだ、そうだったんだ。いや~、勘違い勘違い……あはは」

「……言う事はそれだけか、律子さんよ」

「に、兄ちゃん、顔が怖いよ?」

「うんうん。なまはげみたいだよ」

どいつも……

「わ、私は信じてましたよ、プロデューサーさん!」

「さっきと言ってる事が違うけど、春香」

こいつも…………

「うふふ~、やよいちゃんのおドジさん♪」

「プ、プロデューサー。怒らないで~、伊織こわ~い」

「ええと……お茶でも飲んで、落ち着きませんか?……あうぅ、怖いです」

「え?っと……僕は、律子の指示を聞いただけですよ」

いいかげんに………………

「さてと……私たちはそろそろお暇しますか……じゃあ」

「お前ら!さっさとこれをほどけー!」

『ご、ごめんなさーーい!!』

5分後。

「……ひどい目にあったぜ」

やっと開放された俺は、洗面所で顔を洗いながら呟いた。

「ん、今何時だ……」

ふと気になったので、携帯の時計で時間を見ると……

AM 8:31

「……って、やばい!」

俺は急いで居間へと走った。

「やよい!学校遅れるぞ……」

「ねえ、本当に何にも無かったのやよい?」

「なな!ないよ、伊織ちゃん!本当だよ~」

「ふ~ん、まあ、プロデューサーも節操なしって事じゃないのね」

「律子、それはひどいよ……あ、プロデューサー」

どうやらまださっきの話をしている様だ。まあいい、今はそれどころ
ではない!

「やよい、さっさと着替えろって!遅刻するぞ!」

「え……わ!もうこんな時間!」

「まったく。俺は車のエンジン掛けてくるから。律子、戸締り頼むぞ。
……って、どうやって家に入ったんだ?」

昨日、戸締りは俺がやったし抜かりは無いはずなんだが。

「ま、企業秘密って事で。ほら、行った行った」

……気になるが後にしておこう。そうだ、もう一つ思い出した。

「お前ら全員、後で覚えておけよ……」

居間に居た律子たちは、俺が一言そう言うと、動きをピタッと止めた。

「ちなみに、今日事務所に来なかったりしたら、誰も居ない様な
デパートの屋上でクチバシ装着でライブさせるからな……」

俺が釘を刺しておくと、みんな頷いた。いつもこれくらい聞き分けが
いいと助かるんだけどな。

それから俺とやよいは、大急ぎで学校まで向かった。その途中、やよいがお腹を空か
したりしたので、コンビニで適当にパンと牛乳を買ったりした。

「悪いな、やよい。時間があれば、朝ごはん作ってやれたのに」

「気にしないでください。私、うれしいんです。みなさん、私の事気にして
来てくれて、プロデューサーもずっと私といてくれたし……私って、
すっごく幸せ者ですね」

そっか、律子たちもやよいの事を心配してくれたのか。まあ、一応は
感謝すべきなのかな。

「お、着いたぞ。やよい、時間大丈夫か?」

「はい!じゃあ、いってきます、プロデューサー!」

やよいは元気に車から飛び出していった。はあ、俺はこれから仕事か……。
ちょっと気が重くなってきたかも。なんて考えてると、やよいが戻ってきた。

「どうした、忘れ物か?」

「はい!プロデューサー、ハイ!ターーッチ!」

「ああ。はいよ!」

パチン!と、いい音を響かせて、やよいは学校に走っていった。
俺はそれを見届けて車を出した。ラジオからはやよい達が歌ってる
『ポジティブ!』が流れていた。

「……まっ、悩んでもしかない、だな!」

さてと、今日も一日、仕事をがんばるか。俺は、事務所に車を急がせた……

                      AM 8:58 中学校

「あ、おはよう~、やよいちゃん」

「おはよ~!よかった~、ぎりぎり間に合った」

「ねえ、やよいちゃん。さっき、車で送ってもらったみたいだけど」

「うん。今日は、プロデューサーさんに送ってもらったの」

「へ~。ねえねえ、プロデューサーさんって、どんな人?ちょっと
怖かったりするのやっぱり」

「ううん。たしかにちょっと厳しい時もあるけど……すっごく優しくて、
頼りになる人だよ」

「ふ~ん。そのプロデューサーさんの事、好きなんだね、やよいちゃん」

「うん、大好きだよ。事務所の人たちも、みんな大好き!」

「う~ん……私の言ってる『好き』とは違う様な……あ、先生が
来た!またね!」

「……えへへ、ばれなくてよかった。まだ、誰にも言えない事だもんね♪」

そう、まだヒミツにしておいて、後でプロデューサーをビックリさせるんだから。
誰にも言えない、私だけのヒミツです♪

このお話は続きますけど、それはまた、別のお話です。はい!


パーフェクトコミュニケーション……

つづく。
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